石垣島合宿2日目も順調に
石垣島合宿2日目も順調に 8月8日火曜日、8時から沖縄県立石垣青少年の家の体育館で12時までみっちり練習しました。気温は31度と東京よりも低いのですが、八重山地方特有の湿度が高さのもと、こちら「県立」の「青少年」のための施設ですから冷房はありませんでして、時折窓から入る風を感じながら、じっと座っていても汗ばむ環境です。
熱中症にならないようにこまめな水分補給で、ストラヴィンスキー「火の鳥」、ドビュッシー「海」、坂本龍一監督作曲の「ラストエンペラー」を練習しました。特に二つの課題曲は難易度の高い曲でして、途中、指揮の栁澤敏男さんが「参考のために正直に答えてほしいんだけど、今回の合宿前にきちんとスコアをさらってきましたか?」と団員にお尋ねになるほどの事態でありまして、えー、練習は始まったばかりですから、これからの技芸上達に大きく期待したいところであります! ちなみに滞在している石垣青少年の家の外壁にはこのようなアートが描かれております。
八重山地方に生息する日本の特別天然記念物カンムリワシ!
今期の東北ユースオーケストラの団員におかれましては、「やる気」「根気」「勇気」で、『火の鳥』と『海』に取り組んで欲しいと強く望んでおります。
午前中、畠山茜キャプテンと赤間奏良くんとで練習を抜け、石垣市役所まで漢那政弘(かんなまさひろ)副市長を表敬訪問いたしました。夏合宿の地に石垣市を選んだことへの感謝の意を伺い、東北ユースオーケストラの活動についてご説明をし、副市長からは石垣市政についてのお話を聞きました。石垣市が全国の自治体でも珍しく、人口が自然増していて、合計特殊出生率も2.06とトップレベルにあること。自然に子どもが産まれてくる、子どもを産み育てたくなるような生活環境、地域社会というのはいいものだなあと感心いたしました。漢那副市長と石垣市のバックパネルを背負って記念写真を撮りました。
お昼は食堂で八重山そばとおにぎりをいただきました。
そばに乗っているのはメンマではなく、八重山かまぼこです。
さて、一生懸命練習に取り組んだ4時間を経て、午後は石垣市内を駆け足で周りました。まずは、八重山地方の歴史的建造物を移築して、地元の歴史や文化を紹介する「やいま村」へ。「やいま」とは「八重山」の方言名称です。
栁澤さんはさすがに音楽に関心が高いようで、八重山民謡を紹介する80歳の「おじい」と語り込まれておりました。
八重山民謡とともに、明治政府に使用を禁止され、今ではユネスコから絶滅危機と称される八重山の方言を語り継いでいきたい、歌い継いでいきたいという熱い思いをお聞きしました。
こちらはミシュランのグリーンガイドで見事三つ星に評価された川平湾です。見事な海の色にみんな思わず歓声をあげました。
この後ろで白い帽子を被って俯いてスマホを見ている、パーカッション担当の高校一年生の三浦瑞穂さんは「気仙沼の海とは全然違いますね」と静かに興奮を抑えきれない様子でした。
しかし、みんな写真を撮るよりも、この刻々と移ろいゆく海の表情、彩りの変化を全身を眼にして受け止め、ドビュッシーの『海』を東北ユースオーケストラの『海』への変態させて欲しいとも思うのですが、
そうです、いつのまにか団員とともに海に足をつけている栁澤先生を見ると、「まずは体感だ! Don’t Think, Feel!」とブルース・リーのごとく感じるのでありました。
その後、このような昭和感満載のグラスボートに乗りまして、天然の水族館を堪能しました。
「わあー、アクアマリンふくしまのCMみたい」と声が上がります。いろいろ言いたいところは抑えて、さらに場所を移して、地中に潜りました。
こちらは石垣島鍾乳洞。一気に20万年前から続く、自然の芸術に取り囲まれました。日本の鍾乳洞の中で最も成長が早く、30年で1センチ成長するという、しかし気が遠くなる時間感覚です。(福島の)「あぶくま洞と比べて涼しくない!」との意見に、「知らんがな!」と突っ込みたくなるのは我慢して、日本一の大きさという水琴窟へ。
またしても昭和過ぎますね。しかし、ぽたぽたと滴り落ちる水滴が奏でる天然の楽器に耳を済ませ、「みんな、坂本龍一監督のニューアルバム『async』は聴いた?」と尋ねたら、きちんと反応してくれる団員がいてホッとしました。
石垣市内を観光して、青少年の家に戻って晩御飯はバーベキューです。昨年の札幌合宿で学んだのは「バーベキューの写真は知らない人からすると絵変わりしない」ですが、あえて団員関係者向けに数枚アップ!
以上、俯きがちな食事シーン集でした。
さて、今晩の夕食の後は、今回お世話になっている石垣フィルハーモニー管弦楽団の篠事務局長のアレンジにより我々東北ユースオーケストラのために特別なコンサートを開いていただきました。
さきほどまでソーセージを焦がし、八重山産の麺でジュージュー焼きそばをつくっていた場所が音響設備も整ったステージに早変わり。
地元の八重山民謡を堪能する夕べとなりました。八重山民謡に「とぅばらーま」という男女の情愛を謳った名曲があり、昭和22年から毎年旧暦の8月13日の夜にこの1曲を名月を愛でながら歌い競い合う「とぅばらーま大会」があり、その平成10年の大会のチャンピオンである慶田城用有(けたしろようゆう)さんが5名のメンバーを編成して、我々のためだけに八重山民謡の解説をしながら、唄と演奏をご披露いただきました。
左からお二人目で立って三線を抱えていらっしゃるのが慶田城さんです。この日は奇しくもとぅばらーまを聞くにふさわしい満月の光に照らされた屋外で、時折、虫や犬や鳥の鳴き声が聞こえる音環境のもと聴く八重山の調べは素晴らしいものでした。ちなみにセットリストです。
八重山のお祝いの席での歌に続き、でんさ節、つんだら節、鳩間節の節攻めにも若き団員はしっかりついっていったようで、竹富島で産まれた「安里屋ユンタ」の歌詞も熱心に伺いながら、最後は沖縄本島では「カチャーシー」、こちら八重山では「もーやー」と呼ばれている歌で、全員スタンドアップで踊りました。わたくしも沖縄県庁担当9年の実務経験から覚えた振り付けで踊りました。慶田城さん他メンバーのみなさま、この企画を実現していただいた篠さん、どうもありがとうございました。
こうして夏合宿二日目も修学旅行的充実のもと終えることができました。おかげさまで全体的には順調に進んでおります。明日は地元の中学校と音楽で交流します!