第三期の活動がスタートしました。
7月17日の海の日、2017年度、第三期の東北ユースオーケストラの活動を始動しました。場所は福島市、一般社団法人の理事にもなっていただいている福島民報社の本社ビルです。
こちらの3階、普段は結婚披露宴会場にも貸し出しされるというホールのあるフロアをお借りして、今年度は合同練習会を行なっていきます。昨年度までの毎月の練習場確保の苦心からおかげさまで解放されます。有難や有難や。
三階の受付には東京事務局の須賀さんに並んで、今年から中学生になった赤間奏良くんがお手伝いをしてくれていました。
なんと東北ユースオーケストラのチャリティTシャツ(大竹伸朗さんデザイン!)まで着てくれているではありませんか。最初に会ったのが小学5年生の時ですから、大きくなったなぁ。この3月の定期演奏会のあと、3ヶ月ばかり会っていないだけなのに何人の団員に「身長伸びた?」と言ったことか。また受験を終えて1年ぶりに戻ってきた団員には「大人になったねえ」。こちら身長がもはや伸びない齢48歳には眼を見張るキラキラ成長に驚くばかりです。
さてどんなホールかと言うと、こちら。
この右手後ろのパーテーションを取るとさらにスペースが広がり、オケの練習には十分な場所です。前でお話しいただいているのは、福島民報社の荒木英幸事業局長。今日は3月の主催事業として公演を実現していただいた郡山公演の収益金の100万円をご寄付いただきました。3県の団員を代表して、地元福島県からは受付の手伝いもしてくれた赤間くん、宮城県からは第二期のキャプテン畠山茜さん、岩手県からは小学校6年生の北川聖彩さんが「激励金」を受け取ってくれました。ちなみに4人がカメラ目線で無いのでは、福島民報の記者の方のカメラを凝視していたからでした。もちろん後日しっかり記事になりました。
説明会には84名の団員(欠席29名は多いぞ!)と保護者の方々の約100名ほどにご参加いただきました。今年度は団員113名でのスタート、内新規団員が52名とかなり高い比率ということもあって、あらためて東北ユースオーケストラについて、わたくし田中宏和が事務局を代表して1時間ばかりお話をさせていただきました。そのうち冒頭10分くらいが自己紹介だったかと思うのですが、やはり我が子を預ける親御さんの身にしてみれば「いったいどんな人たちが東北ユースオーケストラの運営をしているのだろう?」という疑念でいっぱいかと思い、勤務先の電通での仕事のことやもう一つの一般社団法人田中宏和の会の活動についてご紹介しました。
今期は「より東北ユースオーケストラならではの創造性」にこだわっていきたいというお話をし、引き続き団員の自主的な取り組み、主体性を尊重していきたいとお伝えしつつ、たとえばマナー向上のためにルールをみんなで決めてみてはどうかと提案をしました。何事にも見本は大事です。わたくしがまずは私案を出してみました。
小学4年生にもわかってもらえて、覚えやすいように「あいうえお作文」にしてみました。特に伝えたかったのは5番目でして、
語順が変わっているのはご愛嬌ということで。しかし、この原点を忘れてはならないなとあらためてお話をしました。最前列の席で福島大学の4年生で就職先が決まって晴れ晴れと参加してくれていた、ヴィオラの服部未来子さんが写真を撮っていたので、いただいて掲載しました。新規団員の募集は締め切りましたが、ヴィオラはまだまだ絶賛募集中です。みなさんの周りで311を体験したヴィオラ奏者がいらっしゃいましたら臆面なくご推薦ください!
わたくしがこの日着用しておりましたのは、沖縄県産の「かりゆしウェア」。沖縄の正装、フォーマルウェアです。8月に縁あって伺う石垣島合宿の説明もしました。一昨年の宮古島とはまた違った、「ヤポネシア」の広さと深さを体感できる八重山諸島を体験してもらえればと思っています。
また当日参加できなかった関係者の方々からはコメントをいただきました。東北ユースオーケストラでは「美術教師(Designer)」の肩書で一連のデザインワークをお願いしている長嶋りかこさんからは。
「悲しみの音色はいずれ、美しいハーモニーになる」という言葉にたまたま出会いました。ピアノ奏者のシーモア・バーンスタイン氏の言葉でした。 東北ユースの演奏を聴いていると、まさにそんなことを思うのです。人生に悲しみや苦悩が訪れないなんてことは無い。けれどその悲しみや苦悩が大きければ大きいほど、その人の人生という音楽が織りなす音は美しく、そして大きく、優しい。だからその音楽を聴いた人々は、その音に包み込まれながら癒されたり勇気を抱いたり希望を見いだすことができるのだと思います。 東北ユースはたくさんの聴衆を前にした演奏会で締めくくられますが、毎度観客は目を潤ませています。それはみなさんの生きた音楽によって、人生の意味を教えられているのだと思うのです。少なくともわたしは、毎度演奏を聴くたびに、みなさんの織りなす音から、人生を教わっています。 そんな東北ユースに ジョイナス!!
今期も指揮をお願いする柳澤敏男さんからのメッセージは、3月の演奏会での男前写真とともにご紹介しました。
坂本龍一監督と過ごす、TYOの音楽の時間はかけがえのないものと感じております。第1期目より第2期目、第2期目より第3期目の音楽がさらに素晴らしいものになりますよう願っております。第3期目もよろしくお願い致します。
当の坂本龍一監督からのメッセージは、 半数以上の新規団員ということもあって、3月の演奏会のパンフレット用にいただいたものを読み上げました。
子供たち自身も、支える大人たちも、この活動を続ける意味、意義を考え続けていますが、実は子供たちに私たちが教えられることが一番多いのです。同じ被災三県の出身といっても、被害の少なかった地域もあるわけで、それでも「被災者」と言われ、被災県発のオーケストラに参加している意味を考えるため、団員の中には自らが仮設住宅に住む被災者のもとを訪ね、その話しを聞いて体験を共有し、また演奏を披露してその方々と交流しています。そのような自発的な活動を通して、自らがその答えを探求しようとしている姿勢に心を打たれます。また、もちろん大きな被害を受けた子供たちの心の傷は、私たちには計り知れませんが、その毅然と音楽をする姿を見るにつけ、「ああ、やっていてよかった」と思い、子供たちの成長や自立のために音楽が少しでも助けになるのなら、できるところまで続けようと、意欲が湧くのです。
午前中は参加者全員による自己紹介も行いました。
あ、 東北ユースオーケストラのInstagramアカウントもフォローしてみていただけるとうれしいです。団員自身による親睦ランチの様子などがアップされています。
午後は各パートに分かれて、顔合わせを行いました。こちらは木管パートの奥はフルート、クラリネットの輪に加わるファゴットとオーボエのチーム。
各パートの様子を伺いに周っていたのですが、自己紹介で好きな食べ物を言っているところが多かったですね。誰にも聞かれていないと思いますが、わたくしは「蕎麦とカレー」です。あとこないだパセリが好きなんだということにも気づきました。どうでもいいですね。
さて、一通りの自己紹介が済んだら、一緒に音出し、パート決めです。ヴァイオリンパートは平均年齢が下がりました。
手前右は最年少、福島県大玉村出身の小学4年生の笹山千尋さん、左は岩手県出身の小学5年生の吉田さくらさん。そして奥の右は岩手県出身の中学1年生、竹田陵司くん、左は同じく中学一年生で宮城県出身の木島悠太くん。これからが楽しみです。
こちらチェロパートには、今期から参加の岩手県出身の中学一年生、齋藤玲利(さいとうすずと)くん。
次の2018年3月の演奏会のメインの演目をあらためて発表したのですが、ドビュッシー 交響詩「海」とストラヴィンスキー バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)です。海の日に「海」ですよ。しかし、前回のマーラーの交響曲第1番に劣らず難しい楽曲に挑戦します。坂本龍一監督からの聞くにお薦めの演奏は、 Pierre Boulez(ピエール・ブーレーズ)指揮。スコアに忠実だからとのことです。みなさん、たくさん身に染み込むほどに聞きましょうね。ホルンパートはさっそく軽快に、
のように見えますが、まだまだこれからです。
今日はパートでそれぞれ一人だけ参加だったファゴットの西村優里さんとオーボエの関根慧くんは、福島事務局でFTVジュニアオーケストラでは講師を務められている竹田学さんに教えを乞うて譜読みをしていました。「譜割りが複雑で難しい」というものの、これから本番に至る過程が楽しみです。
はじめは「午後は17時までいったい何をするのですか?」と団員から言われていた顔合わせもあっと言う間に過ぎました。最後に今年度のキャプテンを決めました。午前中、事務局からは約半数が入れ替わる今年は前年に引き続き畠山茜さんにお願いするのがいいのではと思いますが、みなさんで自薦他薦をお願いしますねとしたものの、やはり総意で畠山さんにもう一年キャプテンを務めてもらうことになりました。
この日の締めくくりには各係も発表になり、3年目にしてまさにホップ、ステップ、ジャンプと名実ともに飛躍するオーケストラになるのではという期待を膨らませた次第です。
これから2018年3月の演奏会まで東北ユースオーケストラの第三期の活動を続けて参りますので、ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。