”なんとなくで”生きていた私
#東北ユースオーケストラを続けたい
このレポートを読んでくださりありがとうございます。
東北ユースオーケストラはみなさまのご支援によって成り立っております。 活動に対する寄付・募金については随時受け付けておりますので、ご協力の程よろしくお願いいたします。
こんにちは。福島県出身、フルートパートの石川慧花です。
私にとって音楽は、生まれたばかりの赤ちゃんの時から母がよく歌を歌ってくれていたそうなので、幼いころから身近にあるものでした。小学3年生の時に、”なんとなく”通っていた小学校の合奏部に入り、「吹いてみたら音が出たから」という”なんとなく”な理由でフルートを始めました。そして中学1年生になり、東北ユースオーケストラに第3期生として入団しました。
入団したきっかけは、叔父から「入団してみたら?」と勧められたからでした。いとこが1期生として活動しており、2期の郡山公演も聴きに行っていました。新規団員の応募には書類選考があるため、「まあ、選考が通るかわかんないしな~」と”なんとなく”な気持ちで応募しました。約2週間後、届いたメールには「事務局での選考の結果、是非団員になっていただきたいと思います。」の文字が。こうして私のユースライフが始まったわけです。
いとこがいるからと気楽に入団してみるとびっくり、大学受験のために3期は休団するとのこと。人見知りの私は知り合いが1人もいない中に放り込まれてしまいました。入団してすぐの夏合宿では、生まれて初めて飛行機に乗ったり、家族に何日も会えなかったり、まだ仲の良い人もいなかったため完全にホームシックになってしまいました。そんなとき、当時大学生の先輩方に「大丈夫だよ~」とか「明日はバーベキューがあるよ!」と慰めてもらいました。
(3期夏合宿初日の写真)
合宿の後の練習会でも1人でいたりすると大学生や高校生の先輩方がたくさん話しかけてくださり、次第に毎回の練習会に前向きになることができました。そしていつか私も後輩に寄り添える先輩になりたいと思うようになり、1人でいる年下の子にやたらと話しかけるようになりました。
今年で入団9年目になり、そんな私も大学生です。あの時の先輩方がいなかったら、直前合宿で色々な団員と仲良くなることも、毎年の演奏会後にユースロスになることも、今こうしてこの文章を書くこともなかったことでしょう。ふと周りを見ると、年下の子たちの方が多くなり、入団した時はたくさんいた3期生も、気が付けば私を含め5人しかいません。なんだか少し寂しいですね。
私は3期で入団した時に憧れた大学生のようになれているのでしょうか。10期に開催された有志演奏会の際には、スマートフォンを紛失し一緒に参加していた高校生に電話をかけてもらって探していました。頼りがいのある大学生になるにはまだまだ時間がかかりそうですね。
(この後、スマートフォンを失くします。)
2011年3月11日。私は卒園を間近に控えた幼稚園の年長さんでした。母の仕事が終わるのを待ちながら、お残り保育を受けていた時に震災が起こり、経験したことのない大きくて長い揺れに襲われた恐怖を今でも覚えています。
翌月、小学校に入学してからも、毎日のようにテレビでは震災の被害状況や原発事故のニュースが流れていました。福島に住んでいながらも当時の私にはその深刻さがなかなか実感できず、どこか遠い場所で起きている出来事のようでした。
私の意識が大きく変わったのは、有志演奏会に参加したことがきっかけでした。有志演奏会の活動の一環で、津波の被害を受けた地域を実際に訪れました。そこには津波で骨組みだけになった建物や、コンクリートでできているにも関わらずぐにゃりと曲がってしまった校舎が残されており、被害の大きさを物語っていました。現地で被災した建物を実際に見たことで、テレビの映像だけではわからなかった被害の規模や現実の重さを、より具体的に感じ取ることができました。
(2018年10月撮影 宮城県南三陸町 旧防災対策庁舎)
震災は、私にとって遠くの出来事ではなく、自分のすぐそばで起きた現実であり、今もなお深い影響を与え続けているのだと実感し、そして同時に、この出来事を決して風化させてはいけないという思いが芽生えました。自分自身があの時に見た光景や感じたことを忘れず、次の世代に伝えていくことが、自分にできる大切な役割の1つだと感じています。
私にとっての東北ユースとは音楽を安心して楽しめる場所であり、”なんとなく”生きているだけでは体験できないようなことが体験できる大好きな場所です、そして”なんとなく”で生きてきた私を変えてくれた場所です。
9期の演奏会が終わった後、当時のキャプテンから「東北ユースの運営のお手伝いをしてくれる人を募集しています」との連絡がありました。団員が過ごしやすいように、3期の時の私のように、人見知りでまだ知り合いがいない人でも楽しく活動ができるように。と微力ながら、クラウドファンディング係や団員レポート作成などの裏方のお手伝いをさせていただいています。
“なんとなく”で生きてきた私を変えてくれた東北ユースオーケストラ。私が卒団した後も東北の子供たちが音楽を楽しめるような、そしてその子供たちが卒団する時に「楽しかったな」と思ってもらえるような場所になるように支えていくのが私のひそかな野望です。
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