REPORT

2024.12.26

sakamotocommon GINZAで弦楽四重奏の演奏をいたしました。

12月22日(日)にsakamotocommon GINZAで弦楽四重奏の演奏をいたしました。

sakamotocommon(サカモト・コモン)とは、坂本龍一さんが遺したものを共有化し、未来のクリエイターのために利活用することを目指しているプロジェクトです。このクラウドファンディグ支援の返礼のためのイベントであるsakamotocommon GINZAでの特別公演として、東北ユースオーケストラ in Ginza Sony Parkという特別編成の弦楽四重奏で坂本龍一作曲作品の演奏を行いました。

メンバーは、ファーストヴァイオリンの福島県出身の渡邉真浩(わたなべ・まひろ)さん、セカンドヴァイオリンの宮城県出身の鈴木南美(すずき・みなみ)さん、ヴィオラは福島県出身の長沼由莉 (ながぬま・ゆり)さん、チェロは福島県出身の高橋季(たかはし・はる)さんの4名です。

以下、演奏と団員たちのトークを再録いたします。

オープニング曲は、1987年公開、イタリアのベルナルド・ベルトルッチ監督作品「The Last Emperor」メインテーマでした。

当初、坂本さんは甘粕正彦(あまかす・まさひこ)を演じる俳優としてのオファーだったはずが、急きょサウンドトラックの作曲、制作の依頼を受け、短期間で作曲、録音されたそうです。またこの曲は、現在の東北ユースオーケストラが2015年にはじめて坂本監督と合奏した思い出の曲とも伺っています。なんでも記念すべき初の合同練習会は、福島市の公立高校の玄関で、下駄箱の横での合奏だったそうです。

さて坂本龍一さんは311直後、学校の楽器の点検修理以外にも、国内外のさまざまなアーティスト作品を通じて寄付を募る「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」を立ち上げられました。次に演奏する「kizunaworld」は、その震災支援プロジェクトの最初の作品として、坂本さんご自身が自ら作曲されました。毎年の定期演奏会で共演してくださる吉永小百合さん、のんさんとの詩の朗読パートでも演奏しています。この東日本大震災をきっかけにした東北ユースオーケストラも、この大震災がなければ出会うことが無かった仲間たちとの「絆」を生みました。今日は4人の絆による「kizunaworld」、どうぞお聴きください。

kizunaworld」をお聴きいただきました。
次の作品は、今日演奏するメンバーが生まれていなかったYMO時代の選曲です。1979年に発売されたYMOのセカンドアルバム、年間で100万枚を超えるセールスを記録した「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」に収録されています。のちにマイケル・ジャクソン、エリック・クラプトンなど欧米のポップミュージック、ロックミュージックの偉大なミュージシャンがこぞってカバーした坂本監督の名曲BEHIND THE MASKです。どうぞお聴きください。

【MC】「さて、3曲の演奏が済んだところで、今日のメンバーのお話を伺っていきたいと思います。今日の演奏曲について、4人が一番好きな曲を挙げてもらっています。まずはセカンドヴァイオリンの鈴木南美(すずき・みなみ)さん、お願いします。」
「宮城県利府町出身の鈴木南美です。現在は東京の音楽大学の2年生で、小学5年生だった第1期からのメンバーです。次の曲は、なんとも言葉に表せないような悲しいながらも美しい心情が、曲の最後に向かって行くにつれて混じりあって溢れ出していくような感じが好きです。」
【MC】「
とのことですが、会場のみなさんはどの曲か、想像つかれますでしょうか?
次の曲は1995年のソロアルバム「スムーチー」に収録され、売野雅勇(うりの・まさお)さん作詞で、オリジナルでは坂本さんご自身が歌われた曲です。その後、ピアノソロやトリオのコンサートでも演奏されるようになり、イタリア公演では観客がとても盛り上がる一曲だったそうです。
では、鈴木さんに曲の紹介をしてもらって演奏していただきましょう。」
「『bibo no aozora』を演奏します。」

【MC】「bibo no aozora」をお聴きいただきました。これからは坂本さんが提供された映画音楽からの演奏が続きます。では、続いてお話を伺うのは、ヴィオラ担当の長沼由莉 (ながぬま・ゆり)さんです。
「福島県郡山市出身の長沼由莉 です。現在は東京の大学の3年生です。次の曲は、美しいメロディーが心に染みます。伴奏が加わっていくところは特に温かさが感じられて好きです。」
【MC】「さて、何の曲でしょうか。次に演奏される曲は、1998年に坂本監督が、娘さんの歌手、坂本美雨さんのために作曲された曲でした。その後、坂本監督のピアノソロによるインストルメンタルの曲としてコンサートでの定番曲となりました。昨年、カンヌ国際映画祭で受賞した是枝裕和監督の映画『怪物』で、サウンドトラックとして使用されました。長沼さん、曲の紹介をお願いします。
次に演奏しますのは、Aqua』です。」
【MC】「Aqua」をお聴きいただきました。続いての映画音楽、この曲を一番好きと選んだのは、ファーストヴァイオリンの渡邉真浩(わたなべ・まひろ)さんです。」
福島県郡山市出身の渡邉真浩です。第1期からのメンバーで現在は卒団して、フリーのヴァイオリニストとして活動しています。次の曲は。音階のように聞こえるメロディが和声によってどんどん変化していく様が空模様のようで美しい。お天気雨のように決してネガティブな雨ではないところが感じられて私は好きです!」
【MC】「
ヒントは、先の曲「Aqua」がラテン語で「水」の意味だったように、タイトルに「水」が関係しています。では渡邉さん、曲の紹介をお願いします。」
映画「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックからの一曲で「Rain」です。どうぞお聴きください。」
【MC】「
みなさまと過ごしてきた楽しい時間も残り一曲となりました。最後の曲の紹介は、チェロの高橋季(たかはし・はる)さんにお願いします。」
福島県二本松市出身の高橋季 です。現在は地元の大学の4年生です。わたしは、このオリジナル曲での、鈴と拍子木の音が重なる部分が西洋と日本を同時に表している気がして、クリスマス感も感じることのできる魅力的な感じが好きです。」
【MC】「さすがにみなさんおわかりですね。では高橋さん、曲の紹介をお願いします。」
「映画『戦場のメリークリスマス』のメインテーマ、「メリークリスマス、ミスターローレンス」を演奏します。」
観客のみなさんのあたたかいお気持ちに支えられ、約1時間の公演を終えました。
この演奏会場に置かれていたピアノは、「Ryuichi Sakamoto's "Opera Piano" designed for "LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999"」でした。
坂本監督の魂を感じながらの良き演奏機会となりました。
12月20日から来年3月21日(金)の東京サントリーホールでの第10期の定期演奏会のチケット先行販売がはじまりました。団員は本番に向けて練習に力が入ってきています。サントリーホールで団員全員の練習の成果を聴きに足を運んでいただけると幸いです。