TYO第6期リモート卒団式
3月28日、今期の卒団式をリモートにて行いました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、昨年に引き続き、今期も卒団式はZOOMで実施しました。
このレポートでは、式次第に沿って卒団式の様子をお伝えしたいと思います。
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東北ユースオーケストラ第6期卒団式
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1.開式の辞
TYO東京事務局の田中宏和事務局長が卒団式の司会を務めました。
2.第6期卒団員紹介
大学を卒業し、卒団となる団員の紹介がありました。
Vn.日比野愛
Vn.村上怜央
Vn.吉田啓悟
Va.村岡暸
Cb.勝田凛
Cb.西丸総
Cb.橋本果林
Cb.渡邉晴香
Fl.菅野桃香
Fl.高橋佳寿美
Fl.遠藤なみ
Ob.須賀文栄
Cl.阿達弘将
Cl.黒須菜月
Tb.大谷龍陽
の15名が卒団となります。
最初は卒団生のみ、カメラONで参加です。
3.押木正人代表理事式辞
一般社団法人東北ユースオーケストラ 押木正人代表取締役社長に式辞を頂きました。
「まずは東北ユースオーケストラ第6期の88名の皆さん、1年間の活動お疲れ様でした。
今期は10月に合同練習を1回しただけで練習すらままならない状況となってしまいました。
地震・台風等の自然災害の怖さに加えて、世界規模の感染症の脅威を思い知らされた1年でした。
団員の皆さんは、東北ユースオーケストラが掲げている、
日本や世界で東日本大震災をいつまでも記憶に留め風化させない役割と
これから将来を担う次世代が音楽を通じて創造性を発揮して世界に発信するという目的に賛同して
自分たちの演奏で日本を元気にしようと高い志と希望を持って、集まって頂いている方かと思います。
その皆さんが、肝心の演奏活動ができないことをどんな思いで1年間過ごされてきたのかと思うと、とても辛い気持ちでおりました。
10月の合同練習の後、11月も練習を継続するのか中止するのか決める際に、
アンケートを取らせて頂きましたが、私も全てコメントを読ませて頂きました。
団員や保護者の方々から、練習をこの時期だからこそ続けるべきではないかという意見もあったり、
感染することへの不安であったり、そして何より感染拡大の原因となってしまうリスク、
クラスターを起こしてしまった時に、東北ユースオーケストラの評判まで落としてしまうのではないかという声、様々な思いが綴られておりました。
事務局と大変悩んだ末、最終的には練習中止を決め、
今振り返るとそれが正しい判断だったのではないかと思っております。
団員をはじめ、保護者の皆様の、活動への深い理解があったからこそ、
適切な判断ができたのではないかと思っています。本当にありがとうございました。
アンケートでは事務局への温かい励ましのお言葉をかけていただきましたこと、感謝申し上げます。
このような状況下、6期は思い出に残る活動が何もできずに終わってしまうのかと心配していましたが、
最後に、これまでも直接ご指導頂いている藤倉大さんの、リモートで合奏するために作曲された
「Longing from afar」を、6期の記念演奏として栁澤さんの指揮のもとオンラインで収録できたことが何よりもよかったとほっとしております。
私も作品を視聴させて頂いて、皆さんの一人一人の個性とアイデアが発揮されていて
とても印象的な良い動画になっていると思いました。
オンラインでの新しい合奏の形を完成できて、発信できたことを誇りに、
また今後も頑張って活動していきましょう。
さて、本日でご卒団される15名の卒団生の皆さん、
卒団おめでとうございます。
長い間、お疲れ様でした。
東北ユースの活動からは離れるわけですが、
活動で感じた音楽のすばらしさ、そして人と結びつくことの意義、大切さを忘れずに
楽器演奏を今後もどんな形でも、続けていってほしいなと思います。
ますますのご活躍を期待しています。
また、学業で休団される方も数名いらっしゃると伺っていますが、
一区切りつきましたら、また是非この楽団の活動に戻ってきて頂けたらと思います。
楽しみにしています。
7期も継続される皆さんは、早いうちに練習が再開され、
今年こそ、コンサートが開催できることを信じて頑張っていきましょう。
東北ユースオーケストラの特徴でもある
小学4年生から大学院生まで、幅広い年齢層が交流し合って学び合う楽団に一層なれること、
そして、東日本大震災とコロナ禍の復興の象徴として
「希望の音」を生み出せればと思っています。
今年は東日本大震災から10年という節目の年、
そしてこの東北ユースオーケストラが立ち上がるきっかけとなった
「子どもの音楽再生基金」の活動を同年にスタートしていますので、同じく10年が経ったことになります。
今年も理事になって頂いております、岩手日報社様、河北新報社様、福島民報社様、
各社様には今年もメディアを通じて活動を多数発信頂きまして誠にありがとうございました。
また、出版社のフレーベル社様からは事務局長・田中さんの書かれた「響け!希望の音」を発刊でき、
書籍の形でこれまでの活動をまとめることができて、団員・関係者全員の良い記念になったと思います。
本当にありがとうございます。
今日まで長きにわたり、復興支援に取り組まれてきています坂本龍一さん、栁澤寿男さん、
事務局、関係者の皆様、それからこれまで活動を支えて頂いておりますスポンサーの皆さん、
そして団員を陰でサポート頂いた保護者の皆様、卒団した楽団員も含め、多くの方に支えられて
ここまで継続できたと思っております。この場を借りて御礼申し上げます。
今日の卒団式で、皆さんでこれまでの活動を振り返って
また皆さんと親睦を深められたらと思います。
1年間の活動本当にお疲れ様でした。そして15名の卒団生の方、ますますご活躍されることを期待しています。」
4.祝辞(指揮者:栁澤寿男)
「皆さんこんにちは。
しかし、寂しいですね。
リハーサルの休憩中にいろんな団員とお話していたりしていたのも結構前のことになってしまいますし、
その時はこれでもう一緒に今期演奏できないと思ってませんでしたから。
それで急に皆さん卒団、と言われて本当に寂しい限りで、どうしようかなと思っています。
祝辞を考えたんですが、まったく思い浮かばないんです。
何を言ったら分からない…ということで、
祝辞ではなくただ伝えたいことになってしまいますが…。
うちの子も次に中学3年になりますが、運動会、文化祭、夏の遠泳も無い、修学旅行も無いんです。
コロナ2年目になると、学校から中止の連絡すらもない。
大人も大変なんだと思うんですが、学生にとっては本当に大変なことですよね。
世の中、自粛、自粛と言われています。
自粛は大切ですが、自分も含めて「我慢している」っていう感覚は良くないと思っています。
1年間、東北ユースも「我慢」しました。
皆いろんなことを我慢して、そしていつになったら出来るかわからない。
1,2年「我慢」したところで、その分人生の長さが伸びるわけではない。
これは良くないと思って、できることはやった方が良いと思ったんです。
どういう時代に生まれるかは選べないですが、こういう時代に自分が生まれたからには、
自分が納得できるような時間の過ごし方を見つけないとしょうがないと思ってるんですよね。
私も、今までやろうと思ってできなかった英語とかフランス語のリモートレッスンを受けようとか、
作曲家の人にいろいろレッスンしてもらって楽曲の今まで痒い所に手が届かなかったところとかを解明してみようとか
そんなことをする日々を送っていますが、
あまり「自粛=我慢」と思わず、安全にできることを皆さん自分で見つけて
進歩して生きていったほうが良いのではないかと思っています。
卒団式、というのは形式的にあるものでしょうが、
でも卒団生の方も、いつか一緒に何かやりましょう。
それが音楽会かどうかはわからないですが、音楽を続けていれば一緒に何か、
東北ユースかもしれないし、東北ユースではないかもしれない場で、必ずやりましょうよ。
音楽会でなくても良いじゃないですか。
楽器をやめてしまっても、その人の人生ですから仕方ないと思いますが、
楽器じゃない音楽じゃないことでも、もしご一緒できることがあれば是非僕はやりたいと思っています。
人生の中で同じ時間を共有する人ってあまりいないんですよ。
お互いに同じ思い出を持っているって、結構すごいことだと思いませんか。
そういう意味で、今後何か一緒にできればと思いますし、
その日が来るまで楽しみにしていたいと思います。
あとは、卒団して就職される方、
僕もそうでしたが、若いと突っ張る感じになってしまう人もいると思います。
あんまり突っ張ると後で結構大変ですから、その辺は柔軟に受け入れながら、
自分の良さも出せると良いんじゃないかなと思います。
僕は結構突っ張っていろいろ失敗しましたからね。
今日で卒団だと思いますが、
とにかく体に気を付けて、頑張ってください。
本当にどこかで、会いましょう。
祝辞になっていませんが、本当に伝えたいことはこんな感じです。」
5.送辞(第6期キャプテン:田嶋詩織)
「卒団生の皆様、卒団おめでとうございます。
今期も感染症の影響で満足に活動ができず不完全燃焼のまま卒団を迎えたと思います。
私も同じ年に大学卒業を迎える団員と演奏ができずとても悔しいです。
今期はいつ練習が始まるのか、本番が出来るのかという不安が続いた年でしたが、リモートという新しい形で演奏をすることが出来ました。
ステージ上での演奏は叶いませんでしたが、このような形で演奏をすることができた事は思い出になったのではないかなと思います。
練習では後輩たちに演奏の指導をしていたり、合宿の合間に宿題を教えてあげたり、息抜きに仲間と一緒にアンサンブルをしたり、時には羽目を外してしまったり…そんな光景はいつでも鮮明に思い出せます。
「みんなの頼れる先輩」として道を作っていく姿がとてもたくましく、その姿を見て自分も頑張ろうと思えました。
2年連続ホールでの演奏会が叶わなかった分、またユースに顔を出して一緒に演奏をして頂けると嬉しいです。
最後になりますが、卒団される皆様のご活躍を団員一同お祈り申し上げます。」
6.答辞(第1期生:橋本果林)
「厳しかった冬の寒さも和らぎ春の気配を感じられる季節となりました。
本日は、事務局の皆様をはじめ、多くの団員の皆さん、押木代表理事、柳澤さんのご臨席の下、この様な卒団式を挙行してくださり、卒団生一同、心より御礼申し上げます。また、キャプテンの田嶋詩織さんの送辞のお言葉を賜りましたことに、重ねて御礼申し上げます。
小学生から大学生まで様々な学年がいるこの東北ユースオーケストラでは、入団当時は小学生だった子たちが今では高校生で、いつの間にか身長を抜かされていることも多く、演奏技術面でも、降り番だった子がソロを吹くようになっていたりと、約6年間は短いようでとても長い期間だったと感じています。そして、同じコントラバスパートの皆さんは「この方が弾きやすいですよ。」と優しく教えてくださり、他のパートの団員もリズムが分かりにくい時などお世話になり、本当に良い仲間に巡り会えました。
また、夏合宿は台風の中の北海道、暑い中で練習をした沖縄県、柳澤さんの地元である長野県、坂本監督にお招き頂き秘密の演奏会を見学した山梨県、全てに様々な思い出があり、入団しなければ経験できなかった数多くのことをこの東北ユースオーケストラで経験することができました。また、朝早くから夜遅くまで練習した直前合宿や多くのゲストの方と共演した東京公演、地方公演、その他演奏会など、思い返せばキリがありません。
今年もコロナウイルスの影響で演奏会が中止になってしまい、皆さんに直接お会いできないことが非常に残念です。特に今年は東北ユースオーケストラが結成されるきっかけとなった東日本大震災から10年という節目の年でしたので、余計に悔しいです。
しかし、リモート演奏という形で藤倉大さんの「longing from afar」を演奏することができ、3月11日に配信ができたことは非常に大きな意味があったと思いますし、普段楽器として用いることがない身の回りの物を楽器として演奏している団員がいたことはともに演奏していても面白く、楽しかったです。アイディア1つでどんなことでも乗り越えられるということを改めて実感しました。
在団生の皆さん、今まで私たちを支えてくださり、本当にありがとうございました。皆さんにお会いできたこと、本当に嬉しく思っています。在団生の皆さん、卒団したくないと思っていても必ずその時は来ます。悔いの無いよう、毎回の練習を大切にして過ごしてください。そして、今はなかなか難しいかもしれませんが一度はぜひ有志演奏会にも参加して、その土地の美味しいご飯を食べてみてください。
来年こそは演奏会ができ、お客様に直接演奏をお届けできることを願っています。
その時にはぜひ、お手伝いさせてください。
最後になりましたが、私達をサポートしてくださった押木代表理事を始めとする関係者の皆様、OBOGの皆さん、指揮の柳澤寿男さん、事務局の皆様、坂本龍一監督に卒団生を代表しまして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
これから私たち卒団生は、新しい世界に進みます。社会人という今まで経験したことのない世界に不安な気持ちでいっぱいですが、東北ユースオーケストラで学んだ、「年齢や考え方、経験の違いがある中でも1つの目標に向かって何かを成し遂げられるということ」「逆境は逆転の好機」「一期一会」を糧に突き進んでいきます。
東北ユースオーケストラが益々発展されることを心よりお祈りして答辞といたします。
令和3年3月28日
橋本果林 」
7.閉会の辞
最後に、6期記念で演奏した「Longing from afar」の動画を皆で視聴。
※東北ユースオーケストラ演奏「Dai Fujikura:Longing from afar」
卒団式で流れたのは一般公開されていないスペシャルバージョンで、
指揮者の栁澤さん、作曲家の藤倉大さん、そして坂本監督からのメッセージが入ったものでした。
そして田中宏和事務局長から閉会の辞があり、卒団式が終了。
そしてそのまま、リモート卒団式の後は懇親会を行いました。
ここからは団員全員がビデオをONにして参加です。
そして、今年も画面越しの5本締めでリモート懇親会が終了しました。
第6期の活動が終了しました。
この状況下で安全にできることを検討しながら、東北ユースオーケストラは第7期も活動をして参ります。