REPORT

2018.08.24

夏合宿2018、つづがなく、つつがなく。

夏合宿2018、つづがなく、つつがなく。

今年の夏合宿、8月20日(月)から23日(木)までの3泊4日の行程を無事に終えることができました。おかげさまで過去4回の東北ユースオーケストラの夏合宿史上初の怪我人ゼロ、事件性ゼロ、台風ゼロ、トリプルゼロを達成できましたので、事前に厄除け祈願のご祈祷にお参りした築地の波除神社の視点で「成功」。

その内容はというと、合宿三日目に40歳の誕生日を迎えられ、突然の団員からのバースデーソングの演奏にはにかまれた、東北ユースオーケストラ福島事務局で地元の福島テレビのFTVジュニアオーケストラでは講師を務められる竹田学さん曰く、

今回は、救急車の出動もなく(笑)、全体練習あり、セクション練習あり、観光やレクレーションありと、4回めにしてようやく合宿らしい合宿だったように思います。

という客観評価をいただいたので、おそらく沖縄や北海道という合宿地ではなく、合宿のコンテンツが良かったのではないかと思われます。

実際、合宿最終日の午前中もセクションに分かれ、東京フィルハーモニー交響楽団の先生お二人のご指導いただき2時間半の練習を行いました。

チェロの竹林良さんには、チェロパートの猛特訓のみならず、アンサンブルの細やかな教えをいただきました。ブラームスの交響曲第2番第4楽章の冒頭のパートを動画で。

練習の締めには、竹林さんご自身が東日本大震災後に津波被害の大きかった沿岸部や放射能汚染があった福島県の地域を訪れ、有志演奏をなさったエピソードを涙ながらにお話いただき、団員に復興がきっかけのオーケストラであることを再認識したようです。

というのも、わたくしが「引率の先生は見た」の投稿でありながら、その時に管打楽器セクションの練習の場にいたからです。フルートのさかはし矢波さんは、朝からハイテンションながら繊細な言い回しで表現を言語化されます。第4楽章の大円団を「間違えることを気にせず、アマチュアオケなんだから思い切って吹け」とのアドバイスで、この演奏です。

「もう一通りできたね」と、残りの30分はご自身の体験にもとづくお話をお聞きかせいただきました。これまで訪れられた25カ国の話、インドの最大のスラム街での体験、世界の人口の三分の一しか満腹な食事をできていないから自分は米一粒も残さずに食べる、アジアでは韓国と台湾が教育で進んでいる、みんなぜひ海外に行って実際に体験をして欲しい、そして、音楽には人の心を開く力がある。

第1期から参加してくれているホルンの中学2年生、赤間奏良くんはしっかりメモっていました。

さらに団員の「先生の笛が聴きたいです」のリクエストにお応えいただいて、ビゼー『アルルの女』からの一節、そして、ジャン=ピエール・ランパルの演奏を聴きプロを目指そうと思ったきっかけになったとおっしゃったドップラー『ハンガリー田園幻想曲』の冒頭部分を実演いただきました。

わたくしはこの特別なソロコンサートを団員に混じって聴く機会に恵まれ、図らずも心揺さぶられるあまりに涙してしまいました。「眼が充血してますよ」と突っ込まれるたびに「結膜炎」とか「昨日のお酒のせい」とか申し開きしていましたが。

さかはしさんには練習後、目尻の水を誤魔化しながら「ありがとうございました。詰まるところ、音楽はソウルですね」としか言葉が出なかったです。ご本人、「音楽のはじまりはソウルミュージックですよ。技術じゃない。心のない音楽をやっても意味が無いです」と即答いただきました。

技術が有り余るお方のお言葉だけに真に迫るものがあります。チューバ担当(花火師)の冨澤三兄弟の長男に感想を聞いたら、「うーん、あれぐらい楽器を鳴らせてみたいですね」と羨望の念を漏らしていました。

もちろん管楽器メンバーは記念写真を撮りたがり、

それにも快く応じていただけました。

ついわたくしが管打楽器セクションの現場におりましたため、偏りがでてしまいましたが、竹林さん、さかはしさん、わざわざ北志賀高原にまで教えにお越しいただきどうもありがとうございました!

合宿最終日の昼は、「ついに出た!」。

合宿のランチと言えば、カレー。この安心感は何なんでしょうね。

四日間の夏合宿も終了です。

今年から入団の岩手の中学一年生、ヴァイオリンの藤原知慈さんの親御さんから「糖分補給に」と差し入れいただいた地元の銘菓「かもめの玉子」を持って、

前キャプテン、就職も決まった仙台の畠山茜さんが余裕のポージング。

東北ユースオーケストラの夏合宿2018を、つつがなく、つつがなく、とブラームスの交響曲の主題のように繰り返しながらも、つつがなく終えることができて思うに。

震災から7年が経って、言葉ではなく、音楽を通じてだからこそできることがある。

引き続き東北ユースオーケストラへのご支援をよろしくお願いします。