REPORT

2018.03.04

3月3日(土)の宮城県石巻市での有志演奏会レポートです。

3月3日(土)の宮城県石巻市での有志演奏会レポートです。


 皆さんこんにちは。有志演奏係の冨澤(兄)です。今回は3月3日に行った石巻市での有志活動の報告をさせていただきます。
 あ、なぜ冨澤(兄)にしたかといいますと。実は東北ユースオーケストラ(以下、TYO)内に弟がいるため(兄)とつけさせていただきました。気になる方はこのHPをチェックしてみてください。
 はじめて活動レポートをご覧になる方は「有志演奏とは何ぞや…」となってしまうと思いますので、まずご説明を…

 有志演奏はTYO団員自らが企画実行する演奏活動のことです。今年度は有志演奏を行うため、クラウドファンディング係と有志演奏係が協力して活動をしていますが、両方の係とも大学生の団員を中心に団員が運営を行っています。有志演奏は団員から希望を募り、その希望をもとに有志演奏係が現地の視察や打ち合わせを行い実行しています。

 今回の石巻ですが、前々年度、前年度と石巻の有志演奏に参加し、中心的な役割を果たしてもらった、トランペットの大学3年生中村祐登君の希望で開催することになりました。
 朝8:30に仙台駅に集合しまして、今日は石巻市に向かいます! 朝早いにもかかわらず、メンバーの皆さんは時間通りに集まっていただき、ありがとうございます。

 午前中は中村君がガイド役を務めてくれて、石巻市にある大川小学校などを見て回りました。津波により甚大な被害を受け、報道でもよく目にする大川小学校ですが、現地に初めて行くメンバーが多く、中村君の話を真剣に聞いていました。

  中村君の言葉で

「創造力を働かせて聞いてください。今の小学校の周りは何もない場所ですが、震災前には住宅がたくさんありました。しかし、津波で流されてしまい、生徒もたくさん亡くなってしまいました。そのことをよく考えてください」

 と、言っていたのが印象的でした。

 午前中の行程を終えてお昼ごろにカリタス石巻ベースさんに到着したのですが、到着してみると香ばしいにおいが…..

なんとカレーライスがあるではありませんか!
カリタスさんのご厚意でカレーライスを頂きましたが、これがおいしいこと、美味しいこと。
 みんな「おいしかった」といって、ペロッと完食です。
 昼食後、今回の演奏場所を見に行くと、3月3日はひな祭りという事もあり、立派なお雛様が飾ってありました。

 昼食後、リハーサルで確認事項を確認したら、さぁ、本番です!

 今回は、美空ひばりの曲などを中心に歌謡曲を多く演奏しましたが、皆さんが演奏に合わせて歌っていて、全体が温かい雰囲気になりました。

 演奏が終わった後はみんなで写真撮影!

 前回の南三陸の時もそうでしたが、皆さんとても良い表情ですね。

 写真撮影の後は、来ていただいたお客さんとメンバーみんなで交流会を兼ねたお茶会(こちらでは、「お茶っこ」というそうです)を開催しました。
 お客さんも団員もみんなが楽しく談笑をしていて、とても暖かい雰囲気になっていました。
 このお茶っこの時間を使って今日来ていただいたお客さんに少し感想を聞いてみました。

 「歌謡曲など、みんなが知っていて歌える曲を多く演奏してくれて、聞いていてとても楽しく、一緒に歌ってしまった。機会があればこれからも石巻に来てほしい」

 と、演奏会は大好評でした。

 次は、有志演奏会に初めて参加したヴィオラ担当の大学3年生、高橋奈々さんに今回の感想を聞いてみました。

「お客さんがいっぱい来てくれた上に、みんながあったかくて、とても演奏しやすく、楽しかった! あと、演奏会後の交流会でお客さんとの距離が縮まってとても良かった。 来年もまた参加したい!」

 と、笑顔で答えてくれました。

  次に、TYOで貴重な岩手県出身の団員ですので、「岩手県で有志演奏をやるなら?」と聞いたところ、

 「岩手県で活動するなら盛岡市や北上市などの都市部も良いが、演奏できるなら沿岸部にある大船渡市、宮古市、釜石市などに行ってみたい」

 と、答えてくれました。

 今まで、岩手県で有志演奏会を開催できていないので、これは、有志演奏会係としても、全力でバックアップをして、ぜひとも実現したいものですね!

 さて、ここからは総括です。

 前回の南三陸の有志演奏会レポートでも少し書いたのですが、有志演奏会には大きく分けて2種類あります。

 1つは、TYOの知名度向上やクラウドファンディングの宣伝、今までの経験などを対外的に発信するものです。

  そして、2つ目が、団員が沿岸地域に足を運び演奏、そして演奏だけでなく、被災地域を見て回ることで、団員1人1人が震災を考えるという演奏会であり、今回はこちらに該当します。

 TYO団員のおよそ9割が内陸部出身の団員であり、震災の揺れを体験していても、実際の津波を見たり、被災地に見た団員は少ないと言わざる得ません。そのため、有志演奏会でこのような体験をすることにより、1人でも多くの団員が自分の目で被災地を見ることができるような機会を作るのが私たち有志演奏係の使命ではないかと考えております。

 参加した団員多くが感想として「頭ではわかっていたが、実際に自分の目で見て、現地の人の話を聞くことで、考え方が変わった」と言います。このことからも団員にとっても現地を見ることは大切であり、「思い込み」を変える貴重な機会であると思います。

 震災の記憶は風化し、被災地も変わっていき、やがては復興も終わりを迎えます。しかし、1人でも多くの団員が復興の最中である町や、地域住民の声を聴き、震災の被害に関する考えを持ち、TYOの活動だけでなくこれからの人生を通して発信をしていく。このことがTYOの活動をするうえで大切なことなのでは、と考えております。

 今回の石巻での演奏で、今年度の有志演奏会はすべて終了しました。今年度は3都市で合計4回の公演を行いました。

来年度ですが、場所など詳細は未定ですが、引き続き有志演奏を継続していきたいと考えております、場所については被災地だけではなく日本全国の多くの場所で早い時期から活動を開始したいと考えております。

 来年度は皆様の町にTYOがお邪魔するかもしれません!

 続報をお楽しみに!  

最後になりましたが、今年度の有志演奏会では 株式会社ラトブ様、project“M”様、さんさん商店街様、カリタス石巻ベース様をはじめ、多くの方々にご協力を頂き、世界中のたくさんの方々からクラウドファンディングを通じてご支援を頂きました。 

この場を借りまして深く御礼申し上げます。

本当にありがとうございました。

             Tuba 冨澤悠太(福島県いわき市、大学3年生)