REPORT

2018.02.11

初の保護者会を行いました。

初の保護者会を行いました。


いきなり指揮の栁澤さんと記念写真を撮る3名は、どう見ても家族ですよね。あまりに似過ぎている!東北ユースオーケストラのキャプテン、畠山茜さん(ヴァイオリン)とご両親です。世間は三連休の初日にも関わらず、仙台からご夫婦で福島市の練習会場にお越しいただけました。
2月の合同練習会の初日、3年目にして初の試み、保護者会を行いました。

こちらは今期から加入してくれたコントラバスの西丸総くんファミリー。いわき市からお越しになりました。
そしてもうひと組。同じく第3期から参加の小学5年生、市川真名さんとご両親。郡山市からお見えになりました。

に、似ている・・・。遺伝子って正直ですね。

さて保護者会場の前には過去の活動を振り返るパネル展示で、わたくしの拙文、拙写真も使用されていて何とも面映ゆい気分。今回の保護者会企画は、発足から厚いご支援を受けているJA共済さん、そして福島民報社さんのお計らいで成り立ちました。「相互扶助」を事業理念に掲げられるJA共済さんには、東北ユースオーケストラによる心の復興の活動を応援していただいております。
会の冒頭、JA共済連福島の事業企画部長兼地域活動支援室長の棚辺雄三さんからご挨拶。

続いて、会場をお借りしている福島民報の事業局長 、東北ユースオーケストラの理事もお願いしている荒木英幸さんからもご挨拶。

この想像以上の紛うことなき「保護者会感」の雰囲気に気圧されながら、わたくしが事務局を代表して30分ほどお話ししました。

東北ユースオーケストラの成り立ちから生々しい運営上の苦労や悩みまでをこの際だからとお話しさせていただきました。

この活動の軌跡パネルもつくっていただきました。続いて、福島事務局の竹田さんから今年の演奏会の楽曲解説をしていただきました。

ふだんは地元のFTVジュニアオーケストラで講師を務めていらっしゃる竹田先生による、ドビュッシー「海」、ストラビンスキー「火の鳥」の解説は、絵画における印象派のムーブメントが音楽でも起こったという歴史的な話から、ドビュッシーの全音音階の説明へ。その一例として鉄腕アトムの主題歌をスマホで鳴らす親切な授業でした。

そして、その流れで実際にドビュッシー「海」の練習風景をご覧いただきました。

東北ユースオーケストラではいつも保護者、関係者の方にオープンにご見学いただいているのですが、ステージに席を並べてのザ・父兄参観も初の試みです。本番の100分の1くらいのオーディエンスですが、団員にとってもいい刺激になったはずです。
お忙しいところご参加いただいたご父兄のみなさま、どうもありがとうございました。

今回メインの演奏曲として取り組む2曲は団員にとってチャレンジしがいのある演奏技術を求められます。合奏の練習中に弦楽器のメンバーがぞろぞろ出てきたので、「どうしたの?」と聞きましたら。

栁澤さんから「音を取ってきてください」と言われましたとのこと。つまり、音程をしっかり合わせて出直して来いやー、ということですね。優しく温和な栁澤さんは決してそんなことをおっしゃりませんが。

あちらこちらで弦の音取り風景が。

「海」の35番のところを何回もさらっているようです。

ヴァイオリンを弾けないわたくしは「しっかりがんばろう」としか言えません・・・。

お昼は全員分のお弁当の差し入れをいただきました。

そして、保護者の方々からもお菓子の差し入れをいただきました。ありがとうございました。

こんなにいただいたら喉が詰まりそうですが、杞憂です。3時のおやつの時間に合わせて、またまたJA共済連福島さんから飲み物が届いたかと思えば、

休憩時間にみんな何かを頬張っているではありませんか。

大学受験のため今期はお休みで4月から大学生となって復帰したいと見学に来ていた樅山瑞穂さん(クラリネット)も眼を輝かせて見つめていました。

なんでも「しみてん」という名の福島の名物お菓子と言うではありませんか。

福島事務局の大塚真里さんも「あんこ入りですか!」と浮き足立ち方が半端なく、福島民報社の営業の吉田さんも「福島では有名ですよ。熱々が美味しいんです」と並べていただく手際もキレキレです。

これが「しみてん」です。

「しみてん」、それは「凍天」と書き、餅をドーナツ生地でくるみ、油で揚げたお菓子である。しかも特別にあんこ入りスペシャルバージョンなのである。このメロンパン並みの高カロリーを予想させるお菓子は美味しいに決まっているではありませんか。もはや全員が凍天の熱々美味の直撃を受けました。

以上、過分なほどの凍天とTYOシーンのご紹介でした。この福島のソウルフードは元々は南相馬市に本社工場があったものの、震災後閉鎖を余儀なくされ、現在は宮城県名取市の工場で復活し生産されているそうです。「心の復興」を謳う我々としては、「味の復興」を成し遂げた凍天の生産者、木乃幡さんを応援したいと思います。

日本全国で猛威を振るっているインフルエンザは、福島市でも大流行中とのことで、この日も急な欠席者が何人か出ていまして、やはり体力、抵抗力は大事と言うものの、お菓子ばかり食べているわけではありません。来月には演奏会の本番が控えています。

今年も東北ユースオケストラの美術教師、長嶋りかこさんにイカしたチラシをデザインしていただきました。おかげさまで東京公演は先週土曜日の一般発売直後に売り切れたのですが、31日の仙台公演はまだ完売しておりません。ゲストは吉永小百合さんです。ぜひお越しください。

練習会場の福島民報の取材を受ける栁澤寿男さん。そして、今期から加入の地元出身の団員3名にもインタビューに応じてもらいました。

右から先のご両親との激似スリーショットのヴァイオリンの市川さん、チェロの誉田憲丸くん(高校1年生)、クラリネットの黒須菜月さん(大学一年生)です。

栁澤さんの「海」の楽譜が気になっていたので、写真を撮らせていただきました。

ドビュッシーが作曲のインスピレーションを得た北斎の浮世絵へのオマージュがある趣き深い表紙ですね。

今年の演奏会の「海」への取り組みについて、団員から話を聞きました。

第3期からのメンバー、井出大雅くん(トランペット)です。今は都内の音楽大学の一年生ですが、出身は福島県矢吹町。311の時は小学校6年生でちょうど卒業式の練習をしていたそうです。震災で体験した「嫌な体験」は、自分にとって貴重な体験だったと、今日の宿泊先に向かうバスの中で語ってくれました。

いま新宿歌舞伎町でイベントスタッフのアルバイトをしているのですが、こないだの仕事中に緊急地震速報が出ても落ち着いて対応でき、お客さんに安心してもらうことができました。
あと一人暮らしの部屋でも自然と避難を考えた間取りや用意をして、例えばドアの前に物を置かないようにしています。

東北ユースオケストラの活動はどうですか?

小学校4年生から足かけ10年トランペットを吹いていますが、音楽大学では学べない面白さがあります。上手い人ばかりではなく、上手い人も下手な人も一緒になって音楽をつくりあげていく面白さがあります。個々一人一人ではなく、一丸となって演奏する楽しさがあります。実は須賀川の中学に入って、吹奏楽部で学校初の全国大会に出場した時の自由曲がドビュッシーの「海」の第三楽章だったんです。震災を体験した、その怖さを知っているからこそ表現できる「海」を聴いてほしいです。東北ユースオーケストラに入って、弦楽器と一緒に演奏できる「海」もうれしいし、第三楽章は「海と風の対話」のタイトルの通りで、前の2楽章とはがらっと印象が変わります。中学生の時も、震災の後に「海」はやめた方がいい、不謹慎だという声も保護者から挙がったのですが、結果やって良かったです。東北だからこその海の美しさを表現できると思います。
東北ユースオケストラでは、中学校、高校時代にお世話になった人たちへの恩返しのつもりで演奏したいと思っています。そのうち福島県内の小編成のアンサンブルでの有志演奏にも行ってみたいです。

井出くんによると、ストラビンスキー「火の鳥」も「若い人ならではの火の鳥」が演奏できると思う。有名なフィナーレをぜひ聴いて欲しいとのことでした。どうもありがとう。

二日にわたる練習の宿泊先は、これまたJA共済連福島さんのご手配により、経営されている飯坂温泉の旅館でした。

日帰りできない60名ほどの団員が身に余る立派な施設で一夜を過ごさせていただきました(しかも温泉付き)。

2月の合同練習初日は何度「みなさまのご支援で成り立つ東北ユースオーケストラです」と言ったことか。どうもありがとうございます。(二日目に続く)