夏合宿4日目最終日のレポートです。
夏合宿4日目最終日のレポートです。
8月10日木曜日の朝、こちら合宿地の石垣市の二つの新聞、八重山毎日新聞と八重山日報に前日の石垣第二中学校との交流演奏会の模様が取り上げられました。
八重山毎日新聞の記事はネットでもお読みいただけます、こちら。
今日も朝8時から練習。その前に、あらためて今回の合宿に参加した団員50名の気を引き締めるためにお話をしました。なぜ東北ユースオーケストラがあるのか、なぜ夏合宿をするのか。以下、かいつまんで。
「東北ユースオーケストラは今年で三期目になりますが、年度の活動は夏合宿からはじまり翌年3月の演奏会で締めくくりとなります。その中でも実は年度の活動の最大の出費はこの夏合宿です。この夏のハイシーズンに石垣島まで旅行して、自己負担が4万円というのは安いですよね。普通はありえない。これは東北ユースオーケストラに共感して支援していただいた個人のご寄付、企業のご協賛があってのことです。その感謝の気持ちを今一度感じて欲しいと思います。
そんな夏合宿にあって、参加した団員が嫌な気持ちになったり、来なければ良かったと後悔して地元に帰ることになるならとても残念です。
なぜそこまで費用をかけて夏合宿をするのか。生まれも育ちも年齢も違うみんなが、地元を遠く離れて一緒に練習して、寝る、食べる、遊ぶ。その意味の深さですね。他人と一緒に寝るって、実はとても勇気のいることですよ。寝てるうちに殺されるかもしれない。一緒に食べるうちに毒を盛られているかもしれない。相手に対する信頼が無ければ一緒に生活はできません。そういった人に命を預けることで生まれる一体感こそ合宿でしかつくれないものです。今日もこれから一緒に乗る飛行機が墜ちてみんな死ぬかもしれない。人生ってそんなもんですよ。何が起こるかわからない。しかし、親元を遠く離れ、一緒に寝て食べて、普段では味わえない特別な体験を一緒にすることで生まれるお互いの信頼関係こそが合宿の良さなんです。
東北ユースオーケストラは、坂本龍一さんの被災地の復興支援を音楽家として取り組みたいというお気持ちから生まれました。いまだに津波の被害を被った沿岸部は復興途上だし、福島の原発事故の影響はまだまだ続きます。みんなの活動がこうして沖縄の新聞に取り上げられて、日本全国に伝わる、さらに世界に向けて伝わっていくことが大事です。東日本大震災からの復興の中、元気に素晴らしい演奏活動をしているみんながいることが、地元の人たちを勇気づけ、日本中の人たち、世界の人たちに311を忘れられないことにつながります。だから、この東北ユースオーケストラで演奏活動をすることは、他の部活や何かとは違って、「誰かのためにする」活動だとあらためて思ってください。その誰かは人それぞれ思うところがあるでしょう。しかし、その「誰かのためにする」ことは忘れずにいて欲しい。それができないなら、いつでもやめましょう。東北ユースオーケストラとして活動する意味が無いから。
大切なのは、みんなが、お互いを信じ合える、信頼です。来年の3月の演奏会で、お金を払って来ていただける来場者のみなさんに恥ずかしく無い演奏を聴いていただくために、練習しましょう。
この信頼があるからこそ、東北ユースオーケストラがあります」
という話をしたあとにいったん休憩。
まさにアイスブレイクですよ。この東北ユースオーケストラの前身の「こどもの音楽再生基金」からご支援いただき、2012年から毎年演奏会の司会をボランティアで引き受けていただいている渡辺真理さんから、昨年の札幌合宿に続き、アイスクリームの差し入れをいただきました。
渡辺真理さんはお菓子が好き過ぎて、「ほぼ日刊イトイ新聞」で「マリーな部屋」という連載もされている方ですから、いつもいただく差し入れにはお菓子通としてのこだわりがあります。今回は真理さんの地元の「横濱馬車道あいすもなか」でした。わたくしは小豆味をいただきました。どうもありがとうございました!
最終日の全体練習は、栁澤敏男さんのご指導でストラヴィンスキー「火の鳥」とドビュッシー「海」を丁寧に一小節ごとに少しづつ進めていきました。時間はかかりますが、難しい曲に取り組むにはこれが最短の道なんだと思います。
最後に栁澤さんから「わたしは軍隊みたいな強制は嫌いですから、みんなの自発的な練習に期待しています。スコアを丁寧に何度もさらって次の練習に臨んでください」とのご指示。この後、栁澤さんに畠山茜キャプテンとトランペットのパートリーダーの中村祐登くんも交え、各パートの人的補強や自主的な各パート、各セクションごとのスコア読み会や練習について話し合いました。
合宿所での最後は活動は、
大掃除。「来たときよりも美しく」を目標にみんなで手分けして片づけと掃除に取り組みました。
4日間お世話になった石垣青少年の家の所長さん、職員さんからのお言葉にお礼のご挨拶で応えます。
いつの間にか所長さんの手には会津の名産品、起き上がり小法師が。
なんと福島の大学生阿部秀捷くん(チェロ)が、合宿期間中お世話になった人たちにそっと手渡していたのだそうです。なんて気が利くガイなんだ!大人でもなかなかそんな気遣いできないぞ。こんどアイスクリームをおごります。
新石垣空港に着いてチェックインの長蛇の列をつくります。
(これはまた飛行機の出発時間を遅くしそうだな・・・)
荷物を預けた大学生たちは、自分たちの記事の出た八重山毎日新聞を買ってうれしそうに読んでいました。
さて、到着の写真をご紹介。一足先に合宿所を出発した、最も遠い岩手組の小・中学生3名と今期から参加の岩手県北上出身の木戸口夏海さんと会津出身の阿達弘将くんの国立音大クラリネット二人組は羽田空港でピースサインの練習。
盛岡駅に到着した三人組は初日の出発の時と同じ構図でお母さんと記念写真です。
比較すると、日焼けしているのがわかりますね。
こちらは仙台駅に到着の図。
こちらは福島駅の大きなわらじをバックにパチリ。
今年も羽田空港で言いました、毎度お馴染み合宿締めくくりのフレーズ「家に着くまでが遠足です。家に着くまでが合宿です」の言葉通り、みんな無事に家に帰りました。
わたくしは、と言うと、帰りは羽田空港でレンタルした大型楽器の返却を団員とともに行いました。
コントラバスの大学生、いわき出身の橋本果林さんと今期からの新メンバー山崎寛大くん。二人とも担当の楽器を運ぶのだけでも大変なのに他の人のことまで気をまわして手伝ってくれていました。チューバの冨澤悠太くんといい、大型楽器を演奏すると献身的な性格になるとか、そんな統計データは無いですかね。
おかげさまで3泊4日の夏合宿@石垣島は、大事に至らない小事はあれこれ起きたものの、無事に済ませることができました。ご協力いただいた石垣市のみなさま、東北ユースオーケストラにご支援いただいたみなさま、どうもありがとうございました!
団員のみなさんにおかれましては、とにかく練習してください。合宿所の壁に大書きされていた「やる気」「根気」「勇気」でよろしくお願いします。全体練習の最後にも言いましたが、若い頃の反抗期はベタなことを馬鹿にしがちです。しかし、大人になるとベタの大事さがわかってきます。「やる気」「根気」「勇気」で練習あるのみです。最後にもう一回貼っておきますね。
では9月の第一回合同練習会@福島市福島民報ホールで会いましょう!