REPORT

2026.04.05

東北ユースオーケストラ演奏会2026を終えて

2026年3月26日、サントリーホールにて開催いたしました「東北ユースオーケストラ演奏会2026」は、無事終演いたしました。お忙しい中、会場へ足を運んでくださった皆様、そして活動を支えてくださった全ての皆様に、心より感謝申し上げます。

今回の演奏会では、東北ユースとして久しぶりにクラシックに挑戦しました。 選んだのは、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」です。実はこの曲、坂本龍一監督が人生で初めて買ったスコアなのだそうです。監督の音楽人生の原点ともいえる大切な曲を、今このタイミングで私たちが奏でることには、とても感慨深いです。

そしてもう一曲、今回初めて挑戦したのが「Ballet Mécanique」です。 この曲は坂本監督のソロ作品です。本来はコンピューターやサンプリング音で構成される「機械的」な魅力が詰まった曲ですが、今回はそれをあえて、私たちの「生身の楽器」だけで表現することに挑みました。

オーケストラの楽器だけで、あの独特なリズムや疾走感をどう再現するか……。試行錯誤の連続でしたが、東北ユースにしか出せない、「Ballet Mécanique」を追求しました。


栃木・みかもでの5日間:音楽と向き合う共同生活
本番に先駆け、栃木県の「JIMINIE倶楽部 自然の家 みかも」にて、4泊5日の強化合宿を行いました。

スタート
合宿初日、団員たちは各地からバスに揺られ、集合しました。夕方頃、全員が揃ったところで体育館での全体練習を開始。広い空間に音が響き渡り、いよいよ合宿が始まったという実感が湧いてきます。

夜には、団員同士の絆を深めるためのレクリエーションを開催しました。事前にグループの子たちと話をしそれをもとに行った「団員クイズ」では、誕生日や好きな食べ物といったプライベートな話題に大盛り上がり。1グループ約8人のメンバーの詳細を覚えるのは意外と難しく、苦戦しながらも笑顔が溢れ、パートを超えた友情が芽生える貴重なひとときとなりました。

限界まで音を磨く日々
合宿2日目、3日目は、まさに音楽漬けのスケジュールでした。日中の全体合奏に加え、夜は遅くまでセクション練習やパート練習に励みました。一つひとつのフレーズを妥協なく磨き上げ、全員の意識を一つの「音」へと束ねていく作業は、厳しくも充実した時間でした。
下の写真は夜公演のEtudeのソロパートを練習している様子です。実は今回初めての取り組みで、チューバもソロパートに加入してました。なので例年以上に最後まで何回も練習していました。


衝撃の報告
合宿も終盤に差し掛かった4日目の夜。私たちにとってあまりにも衝撃的な報告がありました。 第1期から指揮を振ってくださり、共に歩んできた栁澤寿男さんの勇退です。

あまりの突然の出来事に、誰もが驚きを隠せませんでした。会場が静まり返る中、目がうるんでいる人もいて、私も涙を止めることができませんでした。栁澤さんは、1期から今まで指揮を振ってこられた熱い思い、そしてステージを離れても変わらず私たちのことを応援し続けてくださるという優しさに満ちたメッセージを届けてくださいました。


春の光の中で
最終日の午前中に最後の仕上げを終え、東京へ向かうバスを待つ間、隣接する「とちぎ花センター」を訪れた団員もいました。

合宿中のほとんどを練習に費やし、お天気もあいにくの雨が続いていましたが、この時はようやく晴れ間が。

外の空気を吸いながら、みんなで春の訪れを感じることができました。

別の団員は近くの「いわふねフルーツパーク」で真っ赤な苺を買っている人もいて、束の間の休息は最高のリフレッシュとなりました。


サントリーホールという特別な場所で
演奏会当日、団員数名は早朝から会場入りしました。舞台裏を支える「仕込み隊」として、楽器の搬入やセッティングに奔走。巨大な搬入用エレベーターに初めて乗ることができた団員も多く、現場はパッと明るい笑顔に包まれました。

今年も司会を務めてくださったのは、渡辺真理さんです。真理さんは、影アナを担当する団員の最終確認にも、まるでお姉さんのように優しく寄り添ってくださいました。プロの技術と温かな気遣いを間近に感じることができ、担当した団員にとって、言葉の力を学ぶ忘れられない経験になったはずです。そして、今年の朗読を担当してくださったのはのんさんでした。 のんさんの真っ直ぐで透明感あふれる声が、私たちの奏でる音色と溶け合い、サントリーホールの豊かな響きの中に吸い込まれていく……。会場全体が優しく、そして力強い温かさに包まれていくのを、演奏しながら肌で感じていました。

また、開演前には、毎年恒例となっている「団員からのメッセージカード」を、今年ものんさんに直接お渡しすることができました。一言ずつ感謝を込めた手書きのカードを、のんさんはとても大切そうに、笑顔で受け取ってくださいました。そのお顔を見て、私たちも「最高の演奏を届けよう」と改めて心を一つにすることができました。


涙の終演
夜公演の最後、万雷の拍手の中で、1期から在団しているホルンパートの菊野奏良さんが、団員を代表して栁澤さんへ大きな花束を贈りました。 花束を手渡した瞬間、二人が交わした熱い抱擁。その姿を見たとき、「ああ、これで栁澤さんの指揮で弾くのは最後なんだ」という実感が一気に押し寄せ、胸が熱くなりました。11年の月日を共に歩み、私たちを信じて導き続けてくださった栁澤さんへの感謝は、とても言葉だけでは言い尽くせません。


今回の演奏会を一つの節目として、東北ユースオーケストラはこれから少しずつ形を変えていくことになります。寂しさはありますが、栁澤さんから受け取った坂本監督の意志を引き継ぎ、私たちはこれからも音楽の道を歩み続けます。

改めてご来場いただき皆様、本当にありがとうございました。
そして引き続き東北ユースを、どうぞよろしくお願いいたします!

ヴァイオリンパート 髙木美優