REPORT

2016.12.24

吉永小百合さん、坂本龍一監督と共演する晴れがましい舞台がありました。

吉永小百合さん、坂本龍一監督と共演する晴れがましい舞台がありました。

12月19日に東北ユースオーケストラとして初の試み、東北ユースオーケストラ弦楽四重奏、通称TYOカルテットがデビューしました。しかも吉永小百合さん、坂本龍一監督といきなり共演という、新人にしては破格の機会です。

場所はというと、

はい、エスカレーターで止まっている人が右に寄るということは、そうです、西日本です。ここは大阪の誉れ高い名ホール、フェスティバルホール。

3年前に新しく建て替えられ、37階建てタワーの低層部がコンサート会場になっています。

さっそく楽屋へ。


今回の選抜メンバーがいました。左から1st.ヴァイオリンの伊藤拓也くんは福島市の高校2年生、チェロの仙台出身の大学4年生、下村鈴之介くん、2nd.ヴァイオリンの 渡邉真浩さんは郡山の高校2年生、ヴィオラの佐々木潮里さんは仙台出身の大学4年生。 こちら「まいど!」と声をかけても、みんなさすがに硬いです。マスク姿の真浩さんは37度台の微熱(前日大阪の病院で検査したところインフル陰性)で、やはりプレッシャー熱なんでしょうか。何しろフェスティバルホールの大舞台ですから、むしろ思わず「もっとみんな緊張しようよ」と発破をかけました。こういう時は緊張を楽しもうくらいでないと。実はみんなまだリハーサル前なのでホールの中を見ていないと言います。これですよ。

チェロの下村くんが現在通う山形大学工学部のある米沢市の地元ホールの5〜6倍はあるそう。今日は2500人ほどの客席が満席になります。ちなみにプログラムはと言うと、

出演者は吉永小百合さん、我らが坂本龍一代表・監督の他に華道家の辻雄貴さん、クラシックギタリストの村治佳織さん、今年ソロデビュー40周年を迎えられた大貫妙子さん、英詞朗読のクララ・クマガイさん。という豪華なメンバーのトリ、なんとアンコールでの出演が東北ユースオーケストラ弦楽四重奏です!そしてさらに驚いたのが、吉永小百合さん朗読、坂本龍一監督が伴奏の福島の詩のパートで、最後に読まれる「わたしにできること」の作者、山崎優子さん。

この山崎さん、去年から東北ユースオーケストラでヴァイオリンを弾いている団員ではないですか!あれから月日が経ち今は中学三年生となって活動してくれています。「私にできること」をほんとうに東北ユースオーケストラの場で実践してくれているのだなあと思い、またこの吉永さんにつないでいただいたご縁に感慨ひとしおであります。

そうこうするうちにあれよあれよと本番が近づいて、楽屋のドアが開いたかと思えば坂本監督がご登場。TYOカルテットメンバーを励ます!



18時30分の開演直前の記念写真です。出番前まで時間があるので、せっかくだからホールの後ろで立ち見でも本番の様子を見てみようと声をかけ、吉永さんが朗読される広島の原爆詩に坂本監督のピアノが奏でられるパフォーマンスを見学しました。峠三吉の言葉、「ちちをかえせ ははをかえせ」から静々とはじまります。原爆の悲惨を生々しく描写し、作者の慟哭が表出される詩の数々を、丁寧に、ある意味淡々と読み進められることでかえって真に迫る朗読の力に、坂本監督が抑制の効いた抒情の音たちを重ね、高谷史郎さんの手によって詩篇が言語記号の明滅として像を結びます。カルテットメンバーにとっては強烈な体験だったようで、前半の休憩の幕間に楽屋へと戻りぐったり。わたくし随行記者も表現の強度にやられました。



呆然とする伊藤くん、うなだれる真浩さんの高校生チームの一方で、佐々木さん下村くんの大学生二人はスマホで気分転換。そうか、スマホはこういう時のために使うのね。そして、出番の声がかかり、出演衣装に着替えた4人で楽屋前の一コマ。



さらに直前の舞台袖で。



TYO四銃士が、吉永小百合さん主演、坂本監督がサウンドトラックを作曲された映画『母と暮せば』からの2曲を演奏する中、「へいわってすてきだね」「あの山を登れば」の二篇が朗読されて、コンサートの全プログラムが終了。この晴れ舞台で見事に演奏しきってくれました!



舞台袖に戻ってきたメンバーいい笑顔。随行記者も感動のあまり「かなりピンボケ」で相すみません。




翌朝、コンサートの主催であった朝日新聞社の朝刊を買いましたところ、一面に記事が。




さらに社会面を見て、朝6時台の電車の中でのけぞりましたよ!ブラックコーヒーの10倍くらい眼が覚めましたよ!!




紙の物理的大きなにはかないませんが、デジタル版の記事では吉永さんの朗読を聴いたり、TYOカルテットの初サインもご覧いただけます。

吉永さんと紡ぐ命の詩 音楽・花と共演「核なき世界」へ:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJDN01Q8JDMPTIL036.html

そして、TYOのGO WEST遠征ツアーはこれだけでは終わらなかったのであります。カルテットの男子二人は東京で下車、翌々日の21日に次の舞台が待っていました。



坂本龍一代表・監督が受賞された『第25回モンブラン国際文化賞』の授賞式が東京・晴海の第一生命ホールであり、そのゲストとして、なんとピアノ坂本監督、ヴァイオリン伊藤拓也くん、チェロ下村鈴之介くんの東北ユースオーケストラトリオ、通称TYOトリオで演奏するという、これまた晴れ過ぎる舞台です。当日の模様はこの記事を読んでいただくのが良いですね。「美貌の青空」「戦場のメリークリスマスのメインテーマ」を演奏した写真もあります。

坂本龍一、モンブラン国際文化賞を受賞。村上龍も祝福 | 坂本龍一 
https://www.barks.jp/news/?id=1000136397


さらには動画ニュースも貼ってあるこちらの記事。

坂本龍一がモンブラン国際文化賞を授賞、授賞式で演奏披露 - amass
http://amass.jp/82586/

演奏後に司会者からTYOの二人にコメントを求められると聞いたものですから、楽屋で何を話すのかを大至急検討。


入念に練習したんですけどね。実際はこうでした。

そこで終了後、「本当はこれを言いたかった」を楽屋で収録しました。

チェロの下村くんは大学4年生で現在25歳、実は大学を2年休んで陸上自衛隊に入っていたそうです。通りでしっかりしてる。ラーメン好きで今回のツアーで東京滞在中はほぼ毎食ラーメンだったとのこと。TYOスカーフの使用禁止令をラーメン屋で湯切りする大将風に撮りました。



授賞式のあと「フォトセッション」なる大人でも体験率は0.001%未満と思われる希少なステージで、大量に浴びたカメラのフラッシュで眼がチカチカしている二人に一人のスタッフの方が声をかけてくれました。「出身はどちらですか?僕も福島なんです」。

ということで福島市出身の二人で記念写真を撮りました。


東北ユースオーケストラで初めての遠征ツアー、無事終わりました。このような機会をつくっていただいた皆々様、ほんとうにありがとうございました。おかげさまで演奏できた団員にとっては人生でも得難い貴重な経験ができましたし、東北ユースオーケストラの名が、活動が世の中に知られる出来事になりました。明日25日は福島市で合同練習会ですから、団員のみなさんは遅刻せず、元気に参加してくださいね。また来年3月の第2回演奏会のチケット先行発売も間も無くです。

引き続き東北ユースオーケストラへのご支援をよろしくお願いいたします。