ぼくが知ってる坂本龍一。
2025年3月28日で坂本龍一監督の3回忌を迎える。
世の中は坂本龍一のことを教授と呼ぶが、私たちは"監督"と呼ぶ。
僕たちだけが呼べる、監督としての坂本龍一について知ってることを紹介したい。
【東北ユースオーケストラとは?】
2014年3月、「子どもの音楽再生基金」を引き継ぐ形で、「一般社団法人東北ユースオーケストラ」が設立。以降、毎年3月の定期演奏会のほか、有志演奏活動、依頼演奏など、音楽を通した心の復興と、震災の記憶の伝承のための活動を行っている。団員は、岩手県、宮城県、福島県を中心に、小学生から大学生までで構成されている。
僕たちにとっての坂本龍一。
僕たち、TYO団員にとっての坂本龍一って何だろうか。
世界的な音楽家?日本生まれの作曲家?音楽プロデューサー?
どれも間違ってはいないだろうが、
僕たちにとっての坂本さんは、監督であるとともに、親戚のおじいちゃんみたいな近しい存在だったように感じる。
僕たち団員は、3月の演奏会に向けて、7月ごろから毎月1回合同練習を行う。
坂本さんは毎月の練習に来るわけではなかったが、12月の練習と3月の直前合宿では必ず会っていた。
12月の練習は、大体クリスマスに被っていたので、坂本さんはケーキを買ってきてくれる。
非常に親戚のおじいちゃんっぽい。
でも実は、僕自身は坂本さんからのケーキを食べたことはない。
毎年12月はなぜか体調を崩してしまう。
今思うと、坂本さんからのケーキを食べてみたかったなと思ったり。
第5期の夏合宿(河口湖)には、坂本監督も一緒に参加。
一緒にBBQをしたり、花火をしたり。
これもまた、非常に親戚のおじいちゃんっぽい。
しかし、演奏が始まると坂本さんは監督になる。
坂本監督は、指揮者の栁澤先生を通して、僕たちの演奏に対するフィードバックをする。
それに対して、私たちは音で応える。
演奏が良くなってくると、坂本監督はニコっとする。
そうして僕たちの演奏は、坂本監督が求めているサウンドにどんどん近づいていく。
坂本監督の作る音楽は、ちびっこだった僕たちにとっては非常に難しく感じることも多い。だが、直前合宿で坂本監督と一緒に練習していくと、不思議とうまく演奏できるようになってくる。
そして僕たちは、坂本監督とハイタッチをしながらステージに上っていく。
坂本監督が僕たちに教えてくれたこと。
TYOとして活動していく中で、僕たちは坂本監督に様々なことを教えてもらった気がする。
坂本監督は、いつも僕たちに「好きな音」を求めていた。
この、好きな音というのは、楽器の音だけではなく、周りにあるすべての音を指していてた。
水の音、空気の音、紙が擦れる音...
周りにあるすべての音に坂本監督は意識を持っていたように感じる。
そこで、ある団員が作曲のワークショップにて、楽譜をめくるだけの曲を作ってきた。ゆっくりとめくったり、早くめくってみたり。楽譜をめくるだけなんだけど、やってみると面白い。
音楽というと、メロディーがあって、リズムがあるものな気がするが、周りにある音すべてを楽しむことができることを、坂本監督から学んだ気がする。
それが音を楽しむ、つまり音楽なのかもしれない。
坂本監督はこんな事も言っていた。
上手い下手じゃない、気持ちなんだ。
もちろん、よい演奏にできたらそれはそれでいいかもしれないが、気持ちが無けれはそれは良い演奏とは言えないんじゃないか。逆に言えば、多少不格好な演奏でも、気持ちを乗せて演奏することが重要だということを伝えてくれたのかもしれない。
世の中には、学校の吹奏楽部でコンクールを突破するために、上手に演奏しなければいけないみたいな風潮があるし、中には、合奏練習で先生から怒鳴られるなんて経験をしていた人もいるだろう。
そういった音楽の世界があることを僕自身は否定したりはしないが、
坂本監督が目指していた音楽の世界とはまた別なものな気がする。
僕自身もTYOに入るまでは、上手に演奏できること=正義みたいに思っていたフシがある。だからこそ、演奏に失敗したら落ち込むし、周りの目が怖くなる。
音楽をするためには、音に気持ちを乗せること、そのためにはその音を楽しまないといけないよね。ということを坂本監督から学んだ気がする。
東北ユースと坂本監督の最後。
皆さんの御存知の通り、2023年3月26日には「東北ユースオーケストラ演奏会2023」があり、坂本監督はその2日後に旅立たれた。
もちろん、この年の直前合宿と本番には坂本監督の姿はなかった。でも、坂本さんの容態が悪化していたことは、僕たちは全く知らず、東京公演の日にはサプライズできてくれるんじゃないかななんて思っていた。
それもそのはず、
坂本監督は、リハーサルや本番の様子は中継で見ていて、リハーサル中に栁澤さんを通していつも通りフィードバックをもらい、僕たちは音で応えていたし、本番後には、坂本監督からメッセージが届いた。
栁澤さんは坂本監督の容態は知っていたものの、僕たちには黙っていてくれたそう。それを知っていたら、演奏なんてまともにできなかったと思う。
坂本監督が亡くなった知らせは、僕たちも2023年4月2日のニュースで知った。
後に、坂本監督が本番の様子をiPhone越しに見ている映像を見せてもらったが、あの姿は一生忘れることはないだろう。多分、これまでのようにリハーサルのときにはニコッとしてくれてただろう。
世の中は坂本龍一のことを教授と呼ぶが、私たちは"監督"と呼ぶ。
僕たちだけが呼べる、監督としての坂本龍一。
復興は終わったと誰かが言っても、
私たちが 3.11 を忘れることはない。
坂本龍一という存在がこの世界から消えても、
彼の魂が消えることはない。
坂本は言った、
この広大な音楽の地平を、
傷つき逆境にいる子供たちに 知って欲しいと。
悔しいけれど世界は災害と争いに満ちている。
音楽は、生きようとする力を引き出すことができる。
ならば、音楽に励まされてきた私たちが、
この先できることはなんだろう。
支えられるから、
支えるへ。
東北ユースオーケストラ
empowered by Ryuichi Sakamoto
東北ユースオーケストラ演奏会 2025
2025年3月21日(金)
昼公演 15:00開演(14:15開場)
夜公演 19:00開演(18:15開場)
サントリーホール 大ホール
指揮:栁澤寿男
演奏:東北ユースオーケストラ
朗読:吉永小百合
司会:渡辺真理
ゲスト:イリア・ボンダレンコ(ヴァイオリン)
三浦友理枝(ピアノ)
演奏予定曲
坂本龍一:
Piece for Illia
東風
Little Buddha
いま時間が傾いて(東北ユースオーケストラ委嘱作品)
The Last Emperor
Merry Christmas Mr. Lawrence
ほか
*曲目は変更になる場合がございます。
S席:5,500円(税込)(東北ユースオーケストラへの寄付金¥2,000を含む)
A席:4,500円(税込)(東北ユースオーケストラへの寄付金¥2,000を含む)
*3歳以上チケット必要
チケット発売日:2025年1月25日(土)
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●チケットプレイガイド
e+ https://eplus.jp/tohoku-youth-orchestra/
ローソン https://l-tike.com/tohoku-youth-orchestra/
ぴあ https://w.pia.jp/t/tohoku-youth-orchestra/
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●【外国人向けチケット】※英語・中国語対応可能
日本国外にお住まいの方でチケットの購入ご希望の方は、以下よりご購入いただけます。
チケット(イープラス):
https://ib.eplus.jp/tohoku-youth-orchestra
受付期間 2/1(土)12:00~3/9(日)23:59
販売券種
S席 6,050円
A席 4,950円
※チケット料金には東北ユースオーケストラへの寄付金2,000円が含まれます。
※本公演は年齢制限はありませんが、出演者の意向により、3歳以上のお子様からチケットが必要となります。オーケストラのコンサートのため、小さなお子様の泣き声や物音に敏感な方もいらっしゃる場合がございますので、 小さなお子様をお連れのお客様は周りの方へのご配慮をお願いいたします。
※出演者情報は必ず公式サイトにてご確認の上、お申込みください。
※チケット料金には10%の手数料が含まれております。
※お申込み完了後の変更・キャンセルはお受けできません。
※チケットは当日お引き換えとなります。チケット引き換え時に、購入者本人の有効な写真付き身分証明書(パスポートなど)の提示が必要となります。
※会場にてチケットを受け取る際は、予約者本人のみでお願いします。
※当日会場にてチケットを受け取るまで、座席番号はお知らせできません。 予めご了承ください。
※事前に公式サイトでイベント詳細をご確認ください 。
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お問い合わせ:DISK GARAGE 問合せフォーム
http://www.diskgarage.com/form/info
主催:一般社団法人 東北ユースオーケストラ
協賛:株式会社デジタルガレージ
株式会社カカクコム
全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
株式会社山田養蜂場
一般財団法人森永エンゼル財団
協力:公益財団法人東京フィルハーモニー交響楽団
株式会社ヤマハミュージックジャパン
株式会社電通PRコンサルティング
後援:ウクライナ大使館
制作:株式会社プロマックス