2016年度の第一回合同練習会@福島市
先月の今年度キックオフとなる札幌夏季合宿から約1ヶ月経ち、
9月18日の三連休の中日に待ちに待った第一回練習会を行いました。
あいにくの肌寒い雨の中、場所は福島県文化センター。
なんでも今年の4月からネーミングライツが導入されたそうで、
愛称名が「とうほう・みんなの文化センター」となったということです。
かなりしつこく検索した結果、「とうほう」とは「東邦銀行」のこととわかりました。
そのセンターの中でも今日使わせてもらうのは、
もちろん団員が急に1,000人以上に増えた訳ではなく、
今年度は初回の練習からみんなで合奏するために、この大きなホールを借りました。
100名以上がステージに乗って演奏できる場所ってなかなか無いのです。
練習場所のご提供もありがたい東北ユースオーケストラへの支援となりますので、
ほど良い土地建物をお持ちの国・自治体・企業・団体・個人の方々、どうぞご検討ください。
さて、約30名の新規団員を迎えての第一回合同練習会ですので、
朝の9時半から冒頭30分、わたくし田中宏和が事務局を代表してお話をすることからはじまるオリエンテーションを行いました。
こんなことを話しました。ちょっと長くなりますが、大切な話ですし、第一回の練習に来れなかった団員も十数名いたので、かいつまんでご紹介しておきます。
おかげさまで東北ユースオーケストラは2年目を迎えることができました。これもひとえにこの活動を支援してくださっている方々のおかげです。2年目だからこそ気を引き締めていきたいと思います。あらためて東北ユースオーケストラは復興支援のオーケストラであることを意識しましょう。死者、行方不明者を含め2万1千人以上の犠牲者を出した東日本大震災から5年半経って、いまだ14万人以上の方々が避難されている現実があります。東北ユースオーケストラは、音楽を通じて震災の影響がまだまだ続いていることを国内外に伝えるともに、震災を乗り越えて復興していこう、音楽を通じてみんながつながり、成長の場となることを目指しています。「いつまでもあると思うな、親と金。」ということわざがあります。「いつまでもあると思うな、TYO」です。みんなが活動できるのは、この東北ユースオーケストラに寄付していただいた個人、協賛していただいた企業のおかげです。感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
わたくしは田中宏和と言います。同じ田中宏和という同姓同名の人に会うのが趣味で、これまで111人の田中宏和さんと会って、一般社団法人田中宏和の会の代表理事をしています。こないだショックなことがありまして、8歳の娘から「お父さんの仕事は同じ名前の人に会うことなんでしょう」と言われました。「世の中、そんなに甘く無い!」と言い返しました。わたくしは大学を卒業して電通という東京の広告代理店に勤めてもう25年になります。たぶんみんなのお父さんと同じくらいか、ひょっとしたらかなり年上なのかもしれません。仕事で2011年の4月にニューヨークにお住まいの坂本龍一さんにお会いしたことが、東北ユースオーケストラのきっかけです。坂本さんは「音楽家として復興支援をしたい。子供たちの被災した楽器を修理することから力になれないか」と熱い気持ちをお持ちでした。そのお気持ちに応えるため、楽器メーカーのヤマハさんを中心とした全国楽器協会という、全国の楽器に関わる企業約800社からなる業界団体による「こどもの音楽再生基金」という復興支援プロジェクトを立ち上げました。まずは被災3県の学校約1,800校に対して、楽器の被災状況を聞くアンケートを行い、結果的に約3,300台の楽器を点検し、約2,000台の楽器の修理を行いました。その点検・修理の一次活動から、二次活動として幼稚園小学校向けに音楽鑑賞教室のプログラムをつくり約200校に派遣授業を行い、また年に中高生向けに一回毎年8月に「School Music Revival Live」という三県の学校の音楽系部活動を集めたオールジャンルの演奏会を宮城県で3年連続3回行いました。そんな折、スイスの世界的に高名な音楽祭であるルツェルン・フェスティバルから復興支援の音楽イベントを被災地で行いたいというお申し出があり、2013年の秋にルツェルン・フェスティバルARKNOVA松島となって実現しました。ルツェルンサイドとしては、日本国内の盛り上げのために知名度の高いアーティスティック・ディレクターの起用をとの意思があり、こどもの音楽再生基金の流れから坂本龍一さんにお引き受けいただき、「せっかくなので被災地の混成ジュニアオケを」と「東北ユースオーケストラ」の企画を考えました。おかげさまで好評だったものですから、こどもの音楽再生基金の意思と資金を受け継ぎ、一般社団法人東北ユースオーケストラとして組織化し、代表・監督は坂本龍一さん。代表理事には全国楽器協会の総務部長で、ヤマハの押木正人常務に就任していただき、三県の地元新聞、ここ福島は福島民報、岩手日報、仙台の河北新報のそれぞれ東京支社長、事業担当役員クラスの方、3名に理事になっていただき、組織をつくっています。
このようにいろんな人の支えで、この東北ユースオーケストラは成り立っています。感謝の心を忘れずに、毎月の練習には休むことが無いようにお願いします。時々、練習の直前に「練習休みます」とだけ脅迫文のような失礼なメールを送ってくる人がいます。問題外です。基本動作をしっかりしましょう。メールには名前やパート、エリアを書いてください。ほんとうに素行の悪い人がいたとしたら、お引き取り願うことになります。そんな人はいないとは思いますが。「去る者は追わず、来る拒まず」が東北ユースオーケストラのポリシーです。
毎年同じことを繰り返していては進歩がありません。今年度から新しく取り組むことを発表します。まず、いまは三県外に住む大学生メンバーの交通費を半額負担できることになりました。これもいただいた寄付や協賛のおかげです。感謝しましょう。二つ目に情報発信の強化です。今年度から団員のみんなが積極的にインターネットを通じて発信して欲しいと思っています。そのために、先月の札幌合宿では東北ユースオーケストラのデザインをお願いしている「美術の先生」長嶋りかこさんと、坂本監督ともお仕事をされている札幌在住の暮らしかた研究家伊藤菜衣子さんに「TYOをもっと伝えるためのワークショップ」を行いました。スマホで写真を撮って、テキストをつけて東北ユースオーケストラのInstagramにアップします。みんなで教え合いながら、東北ユースオーケストラをもっと知ってもらうために、積極的に発信していきましょう。そして、第2回となる来年3月の演奏会ですが、第1回と同様に東京オペラシティコンサートホールに加え、翌日に郡山市民文化センターで地元凱旋公演ができることになりました。その第2回の演奏会では、今日から練習をはじめるメインの楽曲、マーラーの交響曲第1番「巨人」の他に、今年度は日本の民謡にチャレンジしたいと思います。
というような流れで、事務局のテクニカルディレクターで、長年にわたり坂本龍一監督のコンサート製作に関わってきたプロマックスの役員である飯島則充さんをご紹介。音楽大学を卒業後音楽製作の道一筋のベテランから、演奏会に向けての心構えを話してもらいました。お金を払って来られたお客さんにマーラーの一番を満足して聞いていただくレベルに到達するには、とにかく練習。体の中にマーラーの楽曲が入るまで聞いて、しっかり練習してくださいと檄が飛びました。続いて、東京事務局のスタッフ紹介。TYOの「お姉さん」こと岡田直美さん(プロマックス)、今年から岡田さんをサポートする須賀雅子さん(ハーモニクス・インターナショナル)、そして弊社(一般社団法人田中宏和の会でないほう)の後輩の宮川裕。福島事務局は、地元福島テレビ(FTV)でジュニアオーケストラをまとめてこられた、TYOの「お母さん」大塚真理さん、FTVジュニアオケ講師の竹田学さん、今日は仕事の都合で欠席ですがこの近所の管楽器店ブリリアントを経営する渡辺豊さん。実は事務局スタッフの飯島さん、須賀さん、竹田さん、渡辺さんは、そろいもそろってトロンボーン奏者。TYOのトロンボーンパートは本番病欠でも大丈夫です、安心して練習してください。
さらに今年度の団員を代表するリーダーである「キャプテン」を発表。仙台の大学2年生の畠山茜さんです。
実は日本舞踊も習う、和洋のクラシックに勤しむ面倒見の良いお姉さんとして、来年3月の演奏会まで団員を引っ張っていったもらえればと思います。
そして、今年度のコンサートマスターは郡山の高校二年生の渡辺真浩さんに決定しました。
キャプテンといい、コンサートミストレスといい、TYOは「女性活躍社会」であります。
パートリーダーも決定(去年は演奏会直前に決めていたのとは大違い・・・)。
そして、予告通りきっちり10時に(この神進行に自画自賛!)、満を持して今年も指揮をお願いできる柳澤寿男さんをご紹介しました。
コソボフィルハーモニー交響楽団首席指揮者、バルカン室内管弦楽団音楽監督の柳澤寿男さんはダンディな写真写りにも関わらず、練習中に「ドラで肉を焼いてみたい」と口走るジョークを挟んでは団員から陰で「お茶目ざわ先生」と慕われるTYOの大黒柱であります。今年度は第一回の合同練習からマーラーの交響曲第1番の第2楽章から飛ばしていきます。
みんななんとか楽譜は追っている感じですが、先は長そう・・・。
午前中2時間の練習終わりのタイミングで、理事である福島民報社の荒木英幸事業局長から激励のご挨拶をいただきました。福島民報さんのご尽力で来年3月の郡山公演が実現できます。
激励だけでなく、両手に差し入れ、福島名物会津焼きのお煎餅2ケース計140枚をいただきました。ありがとうございました!
福島民報報道局の安藤記者も取材に来られ、指揮の柳澤さんをインタビュー。
翌日の今日、福島民報の素晴らしい記事となりました。ネットではなかなか伝わらない、この記事の大きさを福島の団員に写真に撮って送ってもらいましたよ。
今日の朝刊で福島県民の5人に1人くらいは東北ユースオーケストラの福島公演を知ったのではないかという希望的観測であります。
TYOは小学5年生から大学4年生までの幅広さが特徴です。昼休み中のひとコマを2枚上げておきましょう。まずは青木さん三姉妹。
北海道の河野くん、福島の伊藤くん、岩手のサーレムくんの普段は離れたところに住む大学生、高校生、中学生が仲良くしてるのが東北ユースですね。
午後も3時間みっちりマーラーの練習でした。交響曲第1番で最も難しいとされる第4楽章の練習の様子をちらっと埋め込んでみますか。
テンポがころころ変わる難物に挑む、この子供たちの今後の上達ぶりにご期待ください。
練習が終わったらみんなで片付け。
仙台、岩手に帰る組のバスをお見送り〜。
次回の合同練習会は10月2日の日曜日と期間が短いですが、みなさんしっかり練習してきてください。
これをご覧のみなさまの東北ユースオーケストラへのご支援をお待ちしております。来年の3月の演奏会まで、どうぞよろしくお願いします。