REPORT

2024.03.22

【団員レポート】ミューザ―川崎シンフォニーホール 被災地復興支援チャリティ・コンサート 今回は前日のリハーサルから本番までの様子を、パーカッションパート三浦瑞穂から見た目線でレポートしていきます。

【団員レポート】ミューザ―川崎シンフォニーホール 被災地復興支援チャリティ・コンサート

今回は前日のリハーサルから本番までの様子を、パーカッションパート三浦瑞穂から見た目線でレポートしていきます。

3月11日、ミューザ川崎シンフォニーホールにて「第10回 被災地復興支援チャリティ・コンサート」が行われ、第2部オーケストラステージに東北ユースオーケストラが出演いたしました。

指揮はミューザ川崎シンフォニーホール チーフアドバイザーの秋山和慶さん、ピアノはミューザ川崎シンフォニーホール ホールアドバイザーの小川典子さん、宮本貴奈さん 、パイプオルガンは同じくミューザ川崎シンフォニーホール ホールアドバイザーの松居直美さん、ソプラノ、鈴木美紀子さん、司会は山田美也子さんでした。

演奏曲は「Anger from “Untiteled 01”」「Three TOHOKU Songs」「Aqua」「The Last Empror」「Kizuna World」「Merry Christmas Mr.Lawrence」「花は咲く」の計7曲でした。

まず、団員は演奏会前日の3月10日17:30に会場入りし、打楽器の搬入を行いました。今回は楽器数が多いことに加え、参加できない団員の関係で担当パートも変わっているので、楽器をどのように並べるか、ステージのどのあたりに打楽器が来て、どのくらいのスペースがあるのかなど、直前まで心配事は尽きなかったのですが、なんとかセッティングを終えました。

18:30からリハーサルが始まりました。

まずは、「Anger from "Untiteled 01”」からです。今回私はチェレスタを担当することとなり、とても緊張していました。そもそもあがり症なことに加え、チェレスタはヴァイオリンパートの後方にあったためいつも近くにいる心強いパートのみんながそばにいないためです。そのうえ、ほとんどimprovisation(即興演奏)だったので、とても不安でした。 

しかし、曲が始まってみるとお隣にいたハープが所々同じ動きをしていて、それを頼りに演奏することができました。いつもと違う楽器での演奏も、新たな発見があって面白いと思いました。

次に、「Three TOHOKU Songs」です。指揮の秋山さんから「掛け声もっと明るく、張りがある声で」とご指導いただきました。掛け声はThree TOHOKU Soungsの大きな特徴であるパートであるため、私もよりはっきりとした発声を心がけました。

続いて、「Aqua」です。打楽器と一部の管楽器は出番がないのですが、弦楽器の音色には毎回聞き入ってしまいます。普段は朗読と共に演奏される曲ですが、朗読なしで聴いてもとても素敵な曲だと改めて感じました。

次は、「The Last Empror」です。この曲は何度も演奏して慣れていると思っていたのですが、指揮を振る方が変わるとテンポや拍の取り方が変わるので、それを修正していくという感覚でした。私はバスドラムを担当したのですが、いつも以上に気を遣ってテンポキープに徹しました。

続いて、「Kizuna World」です。この曲も打楽器と一部の管楽器は出番がないのですが、とても素敵な曲で、合奏に参加できないことを毎回悔しがっています。またしても聞き入ってしまいました。

次に、「Merry Christmas Mr.Lawrence」です。私はこの曲でも前半部分でチェレスタを演奏しました。後半で出てくる拍子木は移動の関係で他の団員に担当してもらう予定だったのですが、想定よりチェレスタと打楽器の距離が近かったため、早足で移動して拍子木も演奏することとなりました。加えて、グロッケンと銅鑼を兼任する予定だった団員の移動が間に合わないため、銅鑼も演奏することになりました。思いがけずたくさんの楽器を担当することとなり、ドキドキでしたが、なんとかこなすことができました。

最後に出演者全員で演奏する、「花は咲く」です。この曲は鈴木美紀子さんが歌で参加されるため、歌声とのバランスに気を付けながら練習をしました。特に打楽器はシンバルなどいわゆる金物の楽器はよく響くため、ホールによっては音量を大幅に落とす必要があるのですが、今回は歌の方も参加されるため、より一層音量バランスに気を遣いました。


前日のリハーサルは21:00近くまで続きました。

3月11日演奏会当日、9:00にホール入りし、10:00からゲネプロが始まりました。

演奏会本番の流れに沿って合奏を行います。前日のリハーサルでご指導いただいた部分を確認しつつ、11:30頃ゲネプロが終了しました。

そして、13:00からキャプテン海津洸太くん、ヴァイオリンパートの中学生大田継美さんと共にインタビューのリハーサルをしました。聴きに来てくださった大勢の人の前で話すということでとても緊張しました。

13:45に開場し、14:00からプレトークとして秋山和慶さん、松居直美さん、小川典子さん、宮本貴奈さん、司会の山田美也子さんが登壇されました。

14:30に第1部が始まり、2曲演奏を終えたところで14:46に黙祷をささげました。私は毎年この時間に合わせて黙祷をしているのですが、今年は遠く離れた川崎でも東日本大震災を忘れないで思いをはせてくれている人たちがいることに感謝の気持ちをもち、祈りをささげました。


第2部が始まり、1曲目は「Anger from "Untiteled 01”」です。例のごとく私はとても緊張していましたが、なんとかハープを頼りに演奏することができました。即興演奏の経験はほとんどなかったので、貴重な経験となりました。


2曲目は「Kizuna World」です。この曲は前述の通り打楽器は全員お休みのため、弦楽器の音に聞き入りながら緊張で震える手を落ち着けていました。


3曲目は「Three TOHOKU Songs」です。リハーサルでご指導いただいた掛け声もホールによく響いていました。1曲を通して、特にキャプテンの海津くんの声が良く聞こえました、さすがです…!


ここで団員3名のインタビューが行われました。楽器を始めたきっかけや震災当時の記憶などを振り返りました。各々担当楽器をもってステージ前方に向かったのですが、私はリハーサルの際、海津くんに「みずほちゃんは拍子木でしょ。」と言われたため、拍子木をもっていきました。すると、私の自己紹介の後、司会の山田さんが「せっかくなので鳴らしてみていただけますか。」と仰いました。なんとか外さずに音を鳴らすことができた安堵感から、なにを話したのかはあまり覚えていません…

4曲目は「Aqua」です。例によって打楽器はお休みなので、じっくり聞き入ってしまいました。何度聞いてもとても素敵な曲だなあと思います。

5曲目は「The Last Empror」です。前日のリハーサルでの課題点だったテンポについてもしっかり修正し、演奏することができました。

6曲目は「Merry Christmas Mr.Lawrence」です。チェレスタ、拍子木、銅鑼と多くの楽器を担当しましたが、遅れることなく全てこなすことができて一安心しました。

最後は「花は咲く」です。2番は会場においでくださった皆さんにも歌っていただき、一緒に音楽を奏でることができました。感動して涙を流している方もいらしたそうで、とても嬉しかったです。

無事に演奏を終え、ミューザ川崎シンフォニーホールという素晴らしいホールで、4人のホールアドバイザーの方々と一緒に演奏するという貴重な機会をいただけたことをとても嬉しく思います。今回の演奏会で東日本大震災から12年がたった今でも、被災地以外の場所で震災のことを思い返す機会をつくってくださっていることの貴重さを改めて感じました。TYOもこれからは支援される側ではなく、支援する側に転換していかなければならないと思います。ミューザ川崎シンフォニーホールでの演奏会がその第一歩になればと思います。

パーカッションパート 三浦瑞穂