11月の第6回合同練習会のレポートです。
11月の第6回合同練習会のレポートです。
11月4日(日)に今年度第六回となる合同練習会を福島市で行いました。福島駅から練習会場に向かう道もすっかり秋の景色。
盛岡駅から新幹線に乗ってきた岩手県組の姿が見えました。向かう先は、練習会場をご提供いただいている福島民報社の本社ビル。
こちらもすっかり紅葉に彩られた木々に囲まれていました。
練習前に各パートリーダー、各係のリーダーが揃ってのミーティングです。
今朝のメインテーマは、現在実施中のクラウドファンディングについて。リーダーの橋本果林さん(いわき市出身、コントラバス担当、大学3年生)が、SNSでの情報拡散についてのお願いをしています。
団員が自立的、自主的に現地との交渉、予算管理、実施を行なっている、被害の激しかった地域を中心とする有志演奏活動です。今年は寄付に対するオリジナルの返礼品もご用意できるまでになりました。どうぞみなさまのご支援をお願いいたします。こちらです。
この日は大学の学園祭のピークにあたり、残念ながら学業優先の欠席者が目たちました。
ひさびさにステージに降ろされた緞帳の連獅子の二人も機嫌が悪そうに見えます。
しかし、指揮の栁澤寿男さんのご指導により、今日はブラームスの交響曲第2番を第一楽章から順にさらっていきました。
ふと練習中の「ロイヤルホール」を出ると、降り番の塘英純くん(福島市出身、パーカッション担当、高校2年生)がいました。
塘くん、先月、第5回桐朋学園全国ジュニア音楽コンクールで高校生の作曲部門で見事に第一位、優勝しました。さっそくインタビューすることにしました。
優勝おめでとう!良かったね。
昨年は第一位、第二位は該当者無しで、第三位だったので、うれしいです。今年は5人が本選に残り、おかげさまで一位を取ることができました。
受賞した作品について教えてください。
タイトルは『ロクリアの木』と言う、10分くらいの曲です。ロクリア旋法から取った架空の木をイメージしていて、主題をロクリアで書いています。ピアノと独奏バイオリンによる曲で、本番は桐朋の大学生と高校生に演奏してもらいました。昨年はピアノの独奏曲を自分で弾きました。今年のほうが良い出来の曲になりました。
やはり将来は作曲家を目指すのかな?
はい、まずは音楽大学の作曲科を目指します。
来年3月の演奏会でもオープニングのファンファーレの作曲をお願いしますね。団員全員に聞いたら他に立候補者が出て来ず、みんな「英純くんがいい」と言ってるんだ。
初回はトランペット二重奏、2回目がトランペット三重奏、こないだの3回目が金管八重奏だったので、次回は演奏したい人の編成に合わせて作曲します。東北ユースオーケストラでは、ピアノ以外の器楽曲の作曲の勉強になっています。
来年3月の演奏会での作品披露が楽しみです。
ホールでは第4楽章まで合奏が続いていました。
2時間超の練習の末にようやく昼休みと思ったら、
チェロは第2楽章のソロパートを居残り特訓でした。栁澤さん、ランチ抜きでの熱いレッスンでした。ありがとうございました。
一方、チェロ以外メンバーは、今回はコンパクトな総勢であることもあり、団員同士の交流を図るため、誕生日月別のランチではなく、血液型別のランチとしました。まずはO型のみなさん。
そして、こちらはB型のみなさん。こじんまり適度なサイズ感ですね。
そして、最大勢力A型は、見事な団結ランチ。
残るAB型はというと、数名いたのですが、バラバラでグループを発見できず・・・。血液型占いを信じたくなるランチでありました。
そして、事務局メンバーは、とある業界誌への寄稿依頼を受け、東京、福島のメンバーが集まって掲載用の写真を撮影したのでした。
ちょうど一般社団法人の理事、福島民報の事業局長の荒木英幸さんがご挨拶に見えたので、囲むような構図にしてみました。
すっかり白髪が素敵に定着された福島事務局の大塚真理さん。「ようやくうちの近所の下水に除染がまわってきたのよ。福島市の中でも線量が低かったからと言っても、もう震災から7年ですよ。それまでは、自分たちでは何も処理はしてはいけないと言われてね・・・」時々お聞きする現地の現実に、まだまだ残る震災の爪痕の深さを知ることができます。
午後の練習には初めてのゲストがお見えになりました。
作曲家の仁科彩さんです。仙台市生まれで、長年、ニューヨークで作曲の勉強、音楽活動に取り組まれ、現地で知り合った坂本龍一監督ともライブで共演されたこともあり、今回、監督からの依頼でなんと東北ユースオーケストラのために作品を書き下ろしていただくことができました。タイトルは『くぐいの空』。
音出しの前に作品の解説をしていただきました。
今回の新曲は『くぐいの空』と題しました。古くから毎年秋になると、北海道・東北で越冬しにやってくる渡り鳥たちをモチーフに書いております。
最初、坂本龍一監督から「北の音を探している。東北の音をつくって欲しい」と依頼を受けました。そこでイメージしたのが、くぐいでした。くぐいとは、大白鳥のことです。
宮城県登米市におばあちゃんが住んでいて、近所の伊豆沼で白鳥が見れるよ、と行ってみたことがあります。そこにいたのは動物園にいるコハクチョウではなく、オオハクチョウ。とても大きいのです。なぜシベリアから東北に留まったかと言うと、身体が重いから、ここでいいやと思ったのでしょう。田んぼもあるしと。その大勢のオオハクチョウが集まっている風景が幼少期から残っています。
と、ご持参いただいた絵本を手気持ちのこもった解説が続きました。
古来からオオハクチョウは秋にやって来て冬を家族で過ごし、春にシベリアへと帰ります。「くぐい」はヤマトタケルの古代からこの地に来ています。古語だと「くくい」と言ったようですが、東北に上がると訛るからたぶん「くぐい」になったのでしょう。「くぐいの空」とは、白鳥だけではなく、いろんな鳥が飛ぶ、空のことを言っています。たとえば宮城県は、県鳥ワイルドグース(雁)です。いろいろなところから、いろいろな渡り鳥が、毎年この東北の地に集まって来ます。坂本監督もニューヨークから渡って来られますよね。
いろいろな一羽一羽が集まってきて同じところで冬を過ごし、春に飛び立っていくように、みなさんひとりひとりに未来がある。そんな想いを込めて作曲しました。
白鳥は凄い声で鳴きます。みんなもそのパートが来たら楽器でシャウトしてね。湖のほとりにいる白鳥は絶景です。ぜひみなさんも早起きして白鳥を自分の眼で見て欲しいです。わたしは2年前にニューヨークから仙台に戻ってきて、親戚は岩手県にも福島県にもいます。みんなと話をしたら、同じ場所とか店とか知っているかもしれません。仲良くお話できればとも思います。
演奏はエスプレッシーヴォ(表情豊かに)で。わたしの作品は食材と思って、好きなように味付けしてね。
落ちついた理知的な語り口に秘められた熱いパッションとフレンドシップを感じ、まさにふさわしい方に曲を提供していただけたなあと感じ入りました。
この日は第一楽章の初めての音合わせとなりました。
練習中、ずっと団員の演奏を注意深く聴き、時にレガートの有無などその場で楽譜の変更を指示していただけました。
かと思うと、「みなさんにとってのメゾフォルテは、わたしにとってはメゾピアノかも。間違ってもいいから思いきって!」と団員を鼓舞。
団員には「世界初演」を担う重圧をしっかり感じて、事前の譜読みから自主練、そしてエスプレッシーヴォな思い切った演奏をして欲しいと願っております。
午後はもう一曲、初めて演奏する坂本龍一監督の作曲作品に取り組み、16時半まで練習が続きました。
練習後に撮影をしている人たちが。
デジタル一眼でおさえていた撮影係阿部秀捷くん(福島市出身、チェロ担当、大学3年生)の写真を2枚もらいました。
実は、11月24日(土)に南三陸で行う有志演奏会のPR写真撮影だったのでした。
このような団員主導による有志演奏会へのご支援を重ねてどうぞよろしくお願いします!ジャパンギビングのクラウドファンディング実施中ページはこちらです。
https://japangiving.jp/campaigns/33909
一方、仙台銘菓「萩の月」を両手ににこやかな女子軍団。
なんと今は仙台在住の仁科さんが差し入れに団員人数以上の「萩の月」をいただいたのでした。曲をいただいた上に、お菓子まで! 団員のみなさんにおかれましては、世界初演に応えるべく、作曲者の想いを受け止めて、しっかり演奏してくださいと、こちらも重ねてお願いしておきます。
そして、もうこの季節ですね。
仙台出身の大学四年生、中村祐登くん(AB型)が演奏するそうです。お近くの方はぜひ。
季節は秋から冬へと移り変わり、4ヶ月後には演奏会の春を迎えます。
引き続き東北ユースオーケストラへのご支援をどうぞよろしくお願いします。