REPORT

2016.02.28

第六回合同練習会を行いました。

第六回合同練習会を行いました。

2月27日(土)第六回目となる合同練習会を福島市の飯坂温泉にあるパルセ飯坂というホールで行いました。なんと今年度の合同練習会もこの日が最後。次は来月の直前合宿からの東京オペラシティでの第一回演奏会です。つまり、本番まで一ヶ月を切っている・・・。

演奏会を指揮する柳澤敏男さんも3日後にはサラエボに行くというお忙しいスケジュールをぬってご参加いただきました。「とにかく本番まで時間が無いですね」という柳澤さんの冷静なコメントに緊迫感がみなぎり過ぎていて、心中ソワソワ、動悸がしました。とは言え、まずはチャイコフスキーの交響曲第5番から練習をはじめ、たびたび演奏を止めては各パートに細かい指示を出される指揮の様子を観察していますと、演奏曲の骨格や表情がクリアに修正されていくのがわかり、「なんとかなる!」と希望的安堵をするのでした。

この日はNHKのテレビ番組二つ(よってテレビカメラも2台!)、東京のFM局J−WAVE、地元の新聞社である福島民友の取材が入りました。小学生団員ももはや取材受けが堂々としてきましたね。

今回、NHKの番組取材がきっかけになって、大学生団員3名が津波の被災地に行こうと、先日石巻の復興支援活動をしている大学生、いまだ仮設住宅での生活を余儀なくされている方々に話を聞きにいってくれたのでした。はたして比較的被害の少なかった自分たちが被災地を代表して東京で演奏活動をしていいのだろうか? 東北ユースオーケストラは被害が残る方々に望まれる活動ができるのだろうか? そんな根本的な疑問を持って、仲間内で議論をして、この合同練習会にあわせて仙台出身の大学一年生中村祐登くんがレポートをまとめて持ってきてくれました。

練習の冒頭に中村くんから、わだかまりになっていたジレンマを気にすることは無く、堂々と第一回の演奏会に臨みましょうというメッセージが団員全員に伝えられました。同じ311を体験した人として、被害の多寡にとらわれること無く、いまだ被害の爪痕が残る人たちへ思いを寄せ、自分たちができる音楽の演奏を通じて、なんらかの力になれれば。そういう思いを団員で共有して、第一回演奏会を成功させて欲しいと思います。実際、この活動に対して、個人や企業から様々なご支援をいただいています。それは、東北ユースオーケストラが被災地の力となることへ、多くの方々からの期待をいただいている証拠でもあります。

お昼休みも食事をしながら同じく石巻を訪問した仙台出身の大学一年生楢山花穂さんが編集した現地の映像を見ます。現場のリアリティに感じ入っていました。

こちら月刊ピアノという雑誌の3月号に掲載された団員のホルン松崎奏さんのインタビュー記事です。さすがに月刊ホルンは無いのかな。

午後は初めての楽曲にも挑戦。坂本龍一監督の80年代の作品「ETUDE(エチュード)」という「練習」を意味するタイトルの曲を練習です。

アンコール曲として、ゲストの山下洋輔さんと坂本龍一監督との共演が楽しみですね。

練習の終わりに本番の楽譜カバーの無償での印刷をお申し出いただいた、郡山の小学六年生チェロの石井莉子さんの印刷会社を営まれているお父さんを団員にご紹介。

みなさまからの善意と支援のみで成り立っている東北ユースオーケストラです。ありがたや、ありがたや。

夕暮れて福島駅、仙台駅に向かうバスにみんなで乗り込みます。次に会うときは本番直前合宿。大丈夫かなあ(いろんな意味で)。

東京から連れて行ったうちの小学一年生の娘が走りゆくバスを追いかけるものですから、仙台出身のパーカッション担当大学三年生の野木青依さんが寒いのに律儀に窓を開けて手を振ってくれました。東北ユースオーケストラの団員諸君、とにかく本番に向けて迷うことなく練習してください。いろんな人たちが期待して、素晴らしい演奏を待っていますよ。